内容説明
『怪談』『知られぬ日本の面影』『日本――一つの試論』。日本人も気づいていなかった日本文化の魅力・価値に気づき、世界に広めた人物、小泉八雲。
自身の生い立ちに由来するコンプレックス、葛藤にもがいていたかつての彼、「ラフカディオ・ハーン」はいかにして「日本人・小泉八雲」となったのだろうか。日本へ渡り、日本人の生き方や文化、そして妻となる女性、小泉セツに出会い、彼の人生はヤゴがトンボとなって飛び立つがごとく変わっていく――。
アイルランド出身の著者が描く、空想と史実が織りなす魂の伝記小説。日本人とは何かという問いを、現代の私たちに投げかける。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Roko
32
アイルランド出身の著者が、始めて日本に来た時点ではラフカディオ・ハーンを知らなかったそうです。帰国後に移り住んだ場所が、ハーンが幼少期に暮らした家の近くで、そこからハーンについて調べるようになり、この作品が生まれたというのは、とても不思議な気がします。この作品によって、アイルランドはもちろん、世界中でラフカディオ・ハーンについて知る人が増えて欲しいです。2025/06/13
あまね
16
とても面白かったです。少し前に読んだ『逝きし日の面影』を彷彿とさせます。小泉八雲が生きた時代の古き良き日本人が生き生きと描かれています。著者が長年、日本で暮らしていたとはいえ、その描写の巧みさには驚くばかりです。そして、訳者あとがきにもあるように『小泉八雲=怪談を再話した人』という認識から一歩も二歩も八雲の世界に誘ってくれます。2025年後半のNHK朝ドラは八雲の妻・セツがヒロインとのことです。とても楽しみです。2024/12/16
ぱせり
6
ハーンが愛した古きよき日本の中には、女性の奴隷のような地位、君主への絶対的忠義とその先の死の美化も入っている。そうしたものがハーンが愛した日本人の美点と、同じ根をもって結びついている。日本が西洋文明と交わり、変っていくことを嘆くハーンへの友人の西田千太郎の言葉が心に残る。「私は、それでいいと思っています」2025/06/01
NAGISAN
2
著者は日本語の学士を持つダブリン在住の脚本、映画監督。ラフカディオ・ハーンと妻や友人との交遊を交えながら、ハーンの原風景の日本への敬愛を示す。先祖の見守りや利他など。翻訳とは思えないほどきれいな日本語で読みやすい。2025/01/29
shoko.m
1
小説と銘打ってはあるものの、著者と訳者の調査と努力により実際にあったかもしれないと思えるような作品に仕上がっている。戦争のきな臭い感じがひたひたとしのびよりつつある時代、八雲が感心し心惹かれた日本が失われつつある様が描かれている本作は、今読まれてほしい物語だ。八雲の作品も合わせて読みたい。2025/07/21
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