内容説明
日本人はなぜ森に惹かれるのか――?
自然災害や空襲にも耐え、人々を守ってきた鎮守の森は、どのような植物で構成されているのか。なぜ数百年も人の手を借りず生き延びてきたのか。
国内外でその土地ごとの自然環境に応じて成長する「潜在自然植生」を調査し、植樹法を指導して森林の再生を担ってきた植物学の世界的権威が、日本の「ふるさとの木によるふるさとの森」の重要性について解説する。
曹洞宗の板橋興宗師との対談に、哲学者・梅原猛氏との30年越しの対談2篇を増補し、日本のふるさとの森の姿や日本人の精神性について思索を深める。
【解説】中村桂子
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Shoji
27
鎮守の森が急速に失われ、森は加速度的に荒れ、自然の原理原則が損なわれた今、生態系は乱れてしまった。災害に滅法弱くなり、異常気象が普通になってしまった。人畜に影響が及んでいることは明らかである。著者は、その土地本来のふるさとの木によるふるさとの森づくりを熱心に推し進める学者さんだ。自然の法則に沿うこと、鎮守の森を守ることがエコシステムの原点であり、生物共同体の原理原則だと説く。梅原猛さんとの対談が収録されており、自然の摂理とは突き詰めれば哲学なのか。非常に興味深いものでした。2024/08/28
ろべると
7
境内にある鎮守の森は、震災の業火から建物や人を守ったという。植物生態学者の宮脇先生は、外来の街路樹でなくカシやナラなどの土着の樹木からなる「鎮守の森」を全国に復活させる運動を進めてきた。それは単なる自然保護や温暖化対策などではない。この増補版では梅原猛との対談も収められている。森の復興は日本古来の、八百万の神に護られた日本文化の復興であり、物質文明を突き進んだ日本社会を正しい形に引き戻すことになるのだという。日本人は今こそ森に立ち還ることで、そのアイデンティティを見つめ直す契機にすべきではないだろうか。2024/11/01
mft
5
図書館本。ミヤワキメソッドというのを小耳に挟んだので読んでみる。この本はその土地本来の植生「潜在自然植生」が日本では鎮守の森として辛うじて残っているという話が主。本編は短く、後半は總持寺の板橋興宗とおよび梅原猛との対談で、鎮守の森の宗教思想的意味を考えるような内容になっている2024/11/10
Go Extreme
1
鎮守の森というキーワード: 大震災も耐え抜いた森 死んだ材料による規格品づくりの功罪 チュクセン教授との出会い 植物社会の厳しい掟 造林された松林の運命 国策として植えられた針葉樹 人間と共存してきた里山の雑木林 森の主役となるキ マント群落の重要性 本物の緑環境 熱帯雨林再生プロジェクト 日本人と千年の森: 板橋興宗 梅原猛 鎮守の森・30選 最後の本格的鎮守の森・明治神宮: 日本中から献本された役12万本の樹万 70年の間代々木の地に会わない樹木は消滅 鎮守の森やお寺の森・東京の素顔に触れる2024/09/19
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