内容説明
「ホリスティック」(holistic)は、whole、heal、holyなどに共通するギリシア語holosを語源とし、一般に「全体的/包括的/総体的/全体論的」といった訳が充てられる。本書はホリスティック思想を歴史的に繙き解説しつつ、ホリスティック教育研究の現在地を多様な執筆陣が考察する。
目次
はじめに[孫 美幸]
第1章 ホリスティック・アプローチとは何か――定義,理論モデル,人類史的意義[吉田敦彦]
1.はじめに
2.「ホリスティック holistic」の定義
3.「ホリスティック・アプローチ」の6つの理論モデルと研究事例
4.ホリスティックな探究の人類史的意義
I 共生/ESD/多文化
第2章 教育の人類中心主義を問い直す――再想像力ではぐくむ惑星意識[永田佳之]
1.教育の人類中心主義
2.開発至上主義のトーンダウン
3.再想像の位相へ
第3章 コモナリティから考えるホールスクール・アプローチ――社会変容をもたらす「共」のふるまい[曽我幸代]
1.はじめに
2.変容をもたらすホールスクール・アプローチ
3.コモナリティ―「共」のふるまい
4.ホールスクール・アプローチにみるコモナリティ
5.おわりに―社会変容をもたらすために
第4章 ホリスティックな多文化共生教育――脱植民地化の視点から考える[孫 美幸]
1.はじめに
2.日本のホリスティック教育と植民地主義
3.SDGsの理念から考える多文化共生教育の脱植民地化――2000年代からの議論をアップデートするには?
4.新たな多文化共生教育実践へ――排除の構造を見極め,土着性を大切にし,行動につなげる学び
5.おわりに
II 癒し/対話/超越性
第5章 対話主義は何を恢復するか――水平方向および垂直方向のポリフォニーの観点から[池田華子]
1.はじめに
2.二種類のポリフォニー
3.人間経験の水平方向と垂直方向
4.現代における対話への期待とその課題
5.おわりに―対話主義は何を恢復するか
第6章 「癒すこと」としての教育と調和――シュタイナー教育思想における「健康」概念に着目して[河野桃子]
1.はじめに―調和に向かう「教育/ケア」の系譜
2.シュタイナーによる「癒すこと」としての教育観
3.「癒すこと」としての教育観がもつ危うさ
4.同時代の「健康熱」とそれに対するシュタイナーの批判
5.教育実践のなかの「癒すこと」
6.おわりに―「癒すこと」の視点から見た「教育/ケア」の探求へ
第7章 多様性の受容における超越性の意義――Ch.テイラーからみたR.シュタイナーの地平論[奥本陽子]
1.はじめに
2.テイラーの地平論
3.シュタイナーの地平論
4.おわりに
III 全体性/国家/平和
第8章 「全体性」という困難――エマニュエル・レヴィナス『全体性と無限』を中心に[森岡次郎]
1.はじめに――「全体性」には「外部」がない
2.「近代」とホリスティック――室井麗子による批判的検討を手がかりに
3.「全体性を志向する私」という様態
4.「無限を志向する私」
5.語り得ないものを語り尽くさないために
第9章 教師が国家という「全体」と向き合うための一つのレッスン――戦中の木村素衞による「意味の争奪戦」の戦い方[西村拓生]
1.はじめに―国家という「全体」と教育の問い方
2.なぜ木村素衞か―国民教育論の文脈
3.『国家に於ける文化と教育』の構成
4.「国民」の教育,国家と教師
5.おわりに―「意味の争奪戦」のアクチュアリティ
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