明治殺人法廷

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明治殺人法廷

  • 著者名:芦辺拓【著】
  • 価格 ¥2,400(本体¥2,182)
  • 東京創元社(2024/09発売)
  • 夏休みの締めくくり!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~8/24)
  • ポイント 630pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784488029128

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内容説明

明治20年12月。藩閥専制政府が自由民権活動家一掃のため発令した保安条例により、東京からの退去を命じられて大阪に流れた、幕臣の息子にして探訪記者の筑波新十郎。被告人に対して絶対不利に運用される法廷で苦闘を重ねる、大阪の商家に生まれた駆け出し代言人・迫丸孝平。推理の曙光いまだ届かぬ時代に質屋一家殺人事件の「正しき真相」を求め、出会うはずのなかった東西の二青年が協力して奔走する。『大鞠家殺人事件』に続いて贈る近代大阪グランド・ロマン!

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

161
ミステリは法治国家でしか生まれない。犯罪捜査や裁判が法に基づき公正に行われねば、正義を実現する探偵の出番はないからだ。藩閥専制政治と自由民権運動が激突する明治21年の日本は、とても近代国家の体をなしていなかった。科学捜査の概念もなく、判事も政府の意向第一という時代だからこそ、市民の権利と報道の真実を守るため奮闘する代言人と記者の活躍する法廷物として成立している。実在の著名人を要所で交差させる山田風太郎流の手法も練達しており、この分野での活躍が期待できる。最後に登場する手塚元検事の孫には思わずほんわりした。2024/12/18

ちょろこ

109
法廷ミステリの一冊。時は明治20年。探訪記者の筑波新十郎と代言人の迫丸孝平が質屋一家殺人事件の真相を弁で、文字で導き出すストーリー。東京と大阪、遠い地に離れた二人が出会うまでエンジンかからなかったけれど出会ってからの展開は一気に駆け抜けるほどの惹き込まれ感。立証する手立ても乏しいこの時代に、権力かざし片付けようとする司法サイドをいかに覆すのか…四方八方から細かく事件を捉え、隠されていたものを差し出していく法廷シーンが面白い。見事に時代が絡み時が重なる紐解きは圧巻。コテコテ大阪弁が耳に心地よさ運ぶのも良き。2024/11/20

yukaring

74
探偵の存在しない時代。法廷での裁判は事実や証拠は問題とされず、無実の人間が無罪を主張することさえできない絶対必敗の殺人法廷。そこに起こった質屋6人殺し。下手人として法廷へ引き出されたのは襲撃された質屋の生き残りの16歳の少年。彼は本当にそんな惨たらしい殺人を犯したのか?東京を追われた記者と負け続きの弁護人、怖いもの知らずのこの2人がおかみに楯突き「正しき真相」を求めて奔走する大阪グランド・ロマン。そして彼らが探りだす目を見張る真相。苦しい状況でも喜劇めいた明るさが独特のトリッキーで芦辺さんらしい物語。2024/10/27

がらくたどん

58
「三権分立」知っとるよ!例えば殺人事件が起きるやん。犯人を捕まえるのが行政でどのくらい悪いヤッチャ判断すんのが司法でそもそもの匙加減を決めとくのが立法や。西欧並みに三権分立やりましょかと作ったのが明治22年大日本帝国憲法。で、明治21年やった。この大阪の質屋を舞台にした惨殺事件。ひ弱い書生っぽが捕まって裁判にかけられたんや。裁判所はあっても大方の警官は藩兵上りで裁判官の頭ん中は藩閥専制政府のままや。お上が「犯人や」ゆうたら口答えも無礼や。まして弁護だの推理だの。錦の御旗に隠された暗黒時代法廷ミステリ開廷!2024/12/04

ゆのん

53
まだ司法制度も不完全な明治時代。今でいう弁護士と新聞記者のバディもの。場所は大阪・質屋で起きた6人惨殺事件。現場は密室で、赤ちゃんとら16歳の少年が生き残りとして保護されるも、この少年に嫌疑が…。当時、世間的には良い印象の無かった弁護士と新聞記者のコンビがドタバタと動き回るのが目に浮かんでくるようで良かったし、何よりも驚いたのはあまりに杜撰な警察の捜査や取り調べや威圧的で有罪ありきの裁判だ。裁判の場面を読んでいると冤罪も多かっただろうなぁと思う。初めて知る事が多くて勉強にもなった。2024/10/02

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