哀しいカフェのバラード

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哀しいカフェのバラード

  • ISBN:9784105071820

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内容説明

さびれた南部の町で暮らすアミーリアは、言い寄る男に見向きもせず、独身で日用品店を営んでいる。ある日彼女のもとに背中の曲がった小汚い男が現われた。町中が噂するなか、どういうわけか彼女はこの小男に惚れこみ、同居してカフェを始める。そこにアミーリアの元夫が刑務所を出て帰還。奇妙な三角関係の行方は――。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

しゅう

121
三分の二ほど読んだところで深い考えもなしに訳者あとがきを読んだ。すると結末が書いてあるではないか。これから読む方は、最初あるいは途中であとがきを読まないことをお勧めします。主人公のミス・アミーリアは結婚した男、マーヴィンにずいぶんひどいことをした。その結婚生活は十日しか持たなかった。マーヴィンは復讐心に燃えた。その後、アミーリアはいとこのライモンと巡り合い幸せな生活を送るが…。アミーリアはライモンのことを愛していたがライモンにも愛する人ができて…。いろんな解釈が可能な終わり方だった。立派な銅版画付き。2026/04/14

アキ

96
村上春樹訳・山本容子:銅版画の中編本。カーソン・マッカラーズは、いずれも村上春樹訳の「心は孤独な狩人」「結婚式のメンバー」を読みました。本書は、1950年代のアメリカの乾いた、暴力の渦巻く、うらぶれた街に起こる、どこにも行き着くことのない絶望的な物語です。「愛するもの」と「愛されるもの」とのすれ違いが、ミス・アミーリアとマーヴィン・メーシーとに起こったことであり、せむしはそこに介在して、その関係に作用したことになる。あくまで外から人物を描写するだけで、登場人物の心情は示されることはない。2024/11/03

ぐうぐう

39
とても奇妙で歪な小説だ。それでいて、ひたすら真っ直ぐな小説のようにも思えてくる。一人でいることを好む男勝りのミス・アミーリアは、町にやってきたせむしのカズン・ライモンと出会い、惹かれ合い、同居を始め、一緒にカフェを営むようになる。それぞれ闇を抱えた二人の邂逅は、カーソン・マッカラーズの小説を読んできた読者にとって、小さな希望の灯火だと信じられる。しかし、本作におけるマッカラーズはそうではない。その灯をためらいもせず、吹き消してしまうのだ。(つづく)2024/10/04

田中

30
マッカラーズ短編集(ちくま文庫)に収録されている「悲しき酒場の唄」(西田実訳)と同じ作品。村上春樹訳はもの哀しく叙情的な作風だろう。読み比べて欲しい。挿画もあるためよりイメージが膨らみ、アミーリアの男まさりの無骨さや、せむしのカズン・ライモンの異形さが強く作用してくるのだ。アミーリアは、「愛されるもの」の耐えがたさをよく知っている。つまり、負担なのだ。彼女は、天性の「愛するもの」で、庇護欲が深い愛情に昇華したのかもしれない。だからこそ失望と魂の喪失が痛々しい。「愛するもの」になりたがるのは普遍的である。 2024/10/26

Roko

29
いやぁ、不思議な物語です。ミス・アミーリアも、小男とも、元夫も、決して心を開きません。そして相手のことを理解しようという気持ちもありません。でも、きっと、寂しいんです。そんな自分にしてしまった誰かのことを憎むことを、生きるエネルギーにしていたのかもしれません。山本容子さんの銅版画が、物語の雰囲気を見事に伝えてくれています。2026/03/11

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