内容説明
スターが歌う歌に価値があるのではない。良い歌を歌う人に価値がついていくのだ――。開花前夜の才能たちと真正面から向き合い、数々の名曲を世に送り出した伝説のプロデューサーが「新しい音楽」の立役者たちを愛情豊かに綴る。活字の向こうに狂気にも似た創作現場の興奮が立ち上り、天才たちの表情や声をも感じる奇跡のクロニクル。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
修一朗
64
’今日の三枚おろし’から。元ファンハウスの社長で東芝EMIの伝説のプロデューサー新田和長さんの私の履歴書。数々の名曲が出来上がるまでが綴られていて元田舎のレコード屋の息子(自分)にはたまらないエピソードばかり。かまやつひろしさんたちがユーミンの新婚旅行に乱入したとか,Tulipの歌にはビートルズで仕込んだ手法をつぎ込んであるとか。ビートルズの邦題で有名な高島弘之さんの部下だった新田さんはジョージ・マーティンを師と仰ぎEMIスタジオで修行して日本に新しい音楽を持ち込みニューミュージックを創り上げたのだ。2025/11/06
阿部義彦
19
「ザ・リガニーズ」のリーダーだった新田和長さん。当時東芝EMIはビートルズを持っていた事もあり飛ぶ鳥を落とす勢いでした。そんな所にフォーククルセイダーズの「帰ってきた酔っ払い」でさらに勢いを増し、忌野清志郎を発掘したのも彼だったそうです。そして任されたエキスプレスレーベル、自分の世代はこのレーベルの回ってる様子がありありと浮かびます。(ユーミン、等)しかし、84年に退社し、ファンハウスを創業、マイナーなので触れてませんがこの会社がムーンライダーズと契約してくれた功績は大きい。村井邦彦、朝妻一郎さんも登場。2025/01/10
山田太郎
17
ルビーの指環のあとなんだか尻すぼみだった気がすると思ったら、こういうことだったのか納得というか。でも、そう音楽性の幅は広くなさそうだったからこれで良かったような。クリストーマスとんでもない気がするが、その後のこと考えると安井かずみとくっついて良かった気がするな。あの頃マリーローランサンは素晴らしいアルバムですので、皆さん一度聞いた方が良いです。2025/01/03
izw
9
ぼくが音楽を聞き出したのが1970年、吉田拓郎の「青春の詩」が発売され「ニューフォーク」が盛んになった年、深夜放送でビートルズ解散の裁判を流していた。60年代後半のフォークも聞き歌った中に、ザ・リガニーズ「海は恋してる」があった。そのリーダー新田和長が、東芝に入社し、忌野清志郎、赤い鳥、オフコース、チューリップなどのプロデュースをし、後にファンハウスの社長になったことは知らなかった。ビートルズのプロデューサー、ジョージ・マーチンとの関係、フォークル、加山雄三、坂本九、小澤征爾、森山良子との逸話も興味深い。2025/07/19
しん君
8
1969年に後の東芝EMIに入社してレコード制作の仕事を始めた著者。常にアーティスト側に立つ音楽主義のプロデューサーであり、新しい音楽の黎明期から関わってきた天才たちとのエピソードを紹介。お仕事小説の面も併せ持つ。読み進めて行くと音楽業界の凄い人物だとわかる。小田和正のことを小田君と呼び戦友と語る間柄。加山雄三のコーラスをオフコースに依頼するほど古くからのお付き合いがあり、初めて知るエピソードもあった。横浜生まれで音楽を志す環境や才能に恵まれていたことが、譜面も読めず音痴な僕には羨ましい限り。2025/11/14




