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内容説明
密着取材で浮かび上がる「袴田事件」再審の闘い
事件発生から58年を経て、ついに再審判決の時を迎えた「袴田事件」。
支え続けた姉・ひで子さんの献身、死刑判決を書いた
元裁判官の告白と謝罪など、袴田巖さんが確定死刑囚のまま釈放された
2014年以降の密着取材で浮かび上がる、「再審無罪」への長き闘いの物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
skunk_c
65
ジャーナリストの著者が袴田さんに寄り添う形で書いた、再審決定・高裁での棄却・最高裁での差し戻しといった時期に雑誌『世界』の連載記事と、再審無罪決定直前の『サンデー毎日』記事を加筆編纂したもので、コンパクトな章立ての冒頭にある袴田さんの肉声が胸を打つ。典型的な冤罪の展開であり、検察は証捏造だけは認めたくなかった(ただしこの捏造は警察の可能性大で、警察との信頼関係を崩したくなかったのか)模様だが、厚労省村木事件で特捜が証拠改竄をしていたのに何を今更と感じた。『疑わしきは被告人の利益に」の貫徹が重要と思う。2025/02/09
nonpono
47
2000年代から新聞やテレビの報道を見ていたが、まとまった本を読むのは初めて。「これは、無実でありながら殺人犯の汚名を着せられ、四八年間拘禁され続けた袴田巖の物語」。否定しているのに無理な取り調べからの勾留、自白を作り上げる警察。怖い。自白を裏付けるためのように思える証拠。支えたお姉さんは凄いと思っていたが、やはり強い。死刑への恐れと独房での生活。冤罪とは何かを考えていた。DNA捜査が始まってもまだ冤罪は産まれる。人が人裁くとは。失った時も人も返ってこない。事件から58年で再審なんてあまりにも長すぎる。2024/11/06
けぴ
40
「証拠を捏造したと認定すれば、検察の沽券にかかわる」本書を読んで袴田事件で感じることは、検察は誤りを犯すと間違っていたと言えない体質にあるということ。嘘の証拠で立件してバレそうになると嘘を上塗り。袴田さんは無実となったが証拠を捏造した検察の罪が問われていないのが不思議。更に言えば検察の誤りを見抜く役割が裁判官のはずなのに、僅かな減刑をすることで仕事をしたつもりになっていることも問題。取り調べのビデオ録画などで以前よりは可視化されているとは言え冤罪を産まないようにする抜本的改革には一層の改変が必要と感じた。2025/05/09
読特
40
事件発生後、約60年経っての無罪判決。捏造が指摘された5点の衣類。真犯人は誰だったのか。事実解明のために与えられた捜査権限。警察はその使命を放棄していた。無実の心証を持った1人の判事。それでも死刑判決を書かねばならず、生涯苦しむ。無罪放免となるはずの再審決定と釈放。しかしその確定まではなおも11年を要した。その間、一度の再審棄却さえあった。…優先するのは正義よりも面子。機能していない法の番人。危うい法治国家。閉鎖性と独善性。強大な権力の中に宿る病理。皆がもっと注視しなければ、更なる暴走を招くであろう。2024/10/27
tomi
30
58年を経てようやく無罪が確定した「袴田事件」の裁判を追ったノンフィクション。知らなかったが袴田巌さんは若い頃、寺山修司からも「打たれ強い」と評された有名プロボクサーだったという。一家惨殺の犯人として確たる証拠もなく重要参考人として事情聴取、そんな彼でも音を上げる苛烈な取り調べの末に逮捕、後に死刑判決を受ける。警察も検察も余りの酷さに呆れ返る。証拠の捏造から偽証、都合の悪い情報の隠蔽、何でもあり。素人目にもおかしいと解る矛盾を突きつけても頑として認めない検察。人権蹂躙も甚だしい。2024/10/14
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