内容説明
「他人の暮らしに入り込む仕事」
訪問介護員が寄り添う、
家庭の事情、命の期限
――あなたも女優になれますか?
「誰かのケアをする」というキャパは重い障害のある息子たちを育てるとき、いっぱいになった。かわいいからこそ苦しかった。だから、たくさんの人に助けてもらった。
介護職に就いて10年がすぎ、今度は親が認知症になり、その介護が必要になった。
息子のケアと、他人のケアと、親のケア。私は期せずして3つのケアを体験した。
――これは私の地域の、その年月に、たしかにあった実話だ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kinkin
96
訪問介護の現状、ユーモアも混ぜながら書かれているが仕事をする方は本当に大変だと思った。介護保険制度ができたのは確か2000年くらい、その頃から高齢化社会について問題になっていたのだが高齢化ではなく超高齢社会になってしまった。この先、日本という国はどうなってゆくのだろう。自民党総裁候補のある方は年金は80歳からとか、解雇について規制を緩くしようと唱えてみたり。何を考えているのか!若者が減って職もない一方で介護者がもっと必要になっていく。老老介護がもたらす問題が今以上に増える事は間違いないだろう。図書館本2024/09/19
nonpono
81
三五館シンシャ発行のいろんな職業の方の実録シリーズは新聞広告で知った。今回は介護ヘルパー編である。帯に「他人の暮らしに入り込む仕事」と。2000年に始まった介護保険制度。ヘルパー講座は、本書にも書いてあるが人気は今よりもすごかった。わたしも資料を見ていたな。いまや、訪問介護への診療報酬は下がり、事務所の倒産、また介護の世界の離職の多さが問題になっている。本書は、リアルな訪問介護日記だと思う。卑下も美化もしない。パワハラ家族、セクハラ利用者、「何かとられた」、「誰かいる」妄想、読みやすく読み甲斐があった。2024/12/19
nyaoko
60
私は訪問介護からこの仕事を始めたのだけど、実は今でも戻りたい。訪問は大変だけど、本当に楽しい。やり甲斐もある。ただ、収入が厳しい…。著者のシクラメン復讐劇には思わず笑ったけど、こんな風にして自分のメンタルを守って行く事は1番大事な事だと思う。障害のある息子さんを育てて培った技術や、メンタルサポートはとても生かされていると思った。このシリーズでは一番に良かったなぁ。下にある著者のコメントがとにかく面白いです。2024/11/29
シャコタンブルー
59
介護ヘルパーの過酷な状況は分かっていたつもりだったが、想像以上の過酷な現場に圧倒された。介護といってもほとんど糞尿の処理、後始末ばかりだ。そのうえセクハラじじい、パワハラ娘、物盗られ妄想婆さん、被害妄想狂等、次々と嫌悪感を覚える人が登場してくる。この状態では次々と介護職の人は辞めていってしまうだろう。もっと手当を。もっと給与を。もっと尊厳を与えてほしいと願った。悲惨で酷い話も数々あったが、どんなことも笑い話にしてしまう作者の前向きな考えと姿勢に感銘を受けた。2024/10/07
33 kouch
42
自分の都合に書換えた記憶を繰り返す、虎視眈々と自慢を言う隙を狙っている、これを適度なリアクションで返さないといけない…ヘルパーさんが心身ともにヘトヘトになるのも頷ける。介護福祉士の受験のくだりが好き。60歳のチャレンジ。格好いい。若い子に実習で追いつかないのも老齢とかでなく、実務経験での先入観、自分のやり方の固持に置いているところもポジティブで素敵。下の世話より暴言、暴力のほうがシンドいといのが印象的。身体ケアもデリケートで体力も使う。ただそれ以上に介護とは心と心の触れ合いなのだと感じた2024/11/13