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内容説明
首都圏以外に暮らす女子高生は偏差値の高い大学への進学にメリットを感じにくい傾向にある。東大の学生団体がそのような調査結果を23年5月に公表し、大きな話題を呼んだ。調査からわかったことは、地方で暮らす女子生徒は自己評価が低く、保護者も難関大に進むことを期待せず、周囲にもロールモデルが少ないことだった。日本社会に根付くジェンダー格差に影響する「地方」×「女性」の二重構造を変えるための提言の書。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
サンダーバード@読メ野鳥の会・怪鳥
81
(2024-149)東大の女子率は20%と少なく特に地方女子の割合が低い。学力試験という「公平」な試験を受けているのに何故なのか?全国の進学校での調査結果をまとめた物。恐らくこうだろうと思う事がデータできちんと示された感じ。親もそうだけど、浪人はしたくないからチャレンジしない。有利な資格を取得したいし、両親は地元にいて欲しいから優秀な女子高生は地元国立大医学部への進学率が高いという図式が成り立つ。東大・京大だけが大学ではないし、頭いいから医学部って言うのも変。もっと選択肢を広げても良いと思う。★★★★2024/10/10
たまきら
43
両親の帰国後もアメリカに残り、大学を卒業することができた自分だが、二人には相当心配かけたと思う。けれども帰国後はインドにふらりと行っても「こういう子だから」と受け止めてくれていたように思う。この初々しい本を読みながら善意の壁や偏見と悪意の壁まで、様々な障壁を乗り越えなければいけない私たちの日々を思いました。卒業後は就職。結婚、妊娠、第二子…壁は続いていくのです、新たな価値観を見出せない限り。変わらない(又は悪化している)日本のジェンダー格差…男子学生の理解も欲しいなあ。2024/11/21
よっち
32
首都圏以外に暮らす女子高生が偏差値の高い大学への進学にメリットを感じにくい傾向にあるのはなぜか。丁寧な調査・分析と豊富なインタビューを基に検証する1冊。難関大学の女子比率は高くても3割で、医学部重視という傾向と理系学部は女子が少なすぎるという現状。男子に比べ女子が、首都圏に比べ地方で資格取得が重視されるのはなぜか。ロールモデル不足や合格可能性の高さを重視して浪人を回避する傾向、保護者の期待など、様々な角度から検証していて、少しずつでもいろいろな意識を変えていくことが必要なのだなと改めて実感した1冊でした。2024/09/26
kan
25
地方女子の進学選択肢の狭さ、安定志向、上京の壁、難関大学を回避する傾向など、実感としてもっていたものを可視化した有意義な調査・研究で素晴らしい。さらに、身近なロールモデルを示す継続的な活動を行っているとのことで頭が下がる。地方に生まれ育っただけで大学進学において見えない壁が生じているのに加え、女子であることによる選択肢の制限は文化的・慣習的なもので個人の努力では解決できず気付きもしない。それを明確にした上で女子枠のみならず女子も入居できる県人寮や住居補助金など、工夫の余地があることを指摘する意義深い一冊。2024/09/21
もけうに
11
「地方女子」として感じていた進学に対する社会の無理解を可視化し、本にしてくれた若い2人に感謝したい。「女子は浪人すべきでない」「地元から通える範囲で良い」「東京に行くなんてもっての外」はっきり言葉にせずとも、有形無形に圧し掛かる地方女子への重圧。私の場合は、進学校に行ける学力があるのに実力より遥かに低偏差値の女子高へ推薦で行かせようとする。自分の出身短大を志望するよう誘導する。高校は共学進学校・大学は地元4大へ行くという小さな抵抗しかできなかった。首都圏に生まれた人の選択肢の多さが羨ましく仕方なかった。2024/11/06