内容説明
枠の中で生きられなかった俳人が定型ではなく自由律を志すことに必然性を感じるが、せきしろさんも平穏無事に社会生活を送れる感性ではない。やはり、せきしろさんも自由律を選んだのではなく、魂の形がすでに自由律だったのだろう。――又吉直樹(解説より)
目次
経年
孤影
叙景
過古
解説 自由律俳句の道標として後世まで残り続ける 又吉直樹
あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
けんとまん1007
60
日常の暮らしの中で、目にしている風景。それを、切り取った作品集。自分も、同じような風景を見ているのだろうともう。ふと、無言で頭の中に浮かんだ言葉、文字にしてみること。そんなところから、表現することをやってみてもいいのかなと思う。2024/10/11
ほのぼの
53
自由律俳句集。又吉直樹さんとの共著『蕎麦湯が来ない』で自由律俳句とせきしろさんの名を知った。『蕎麦湯〜』はユーモラスな句が多く笑いながら読める句集だったが、今作は全体的に暗く寂しい。孤独や郷愁を感じる句が多い。そんな中、子どもを詠んだ句がほほ笑ましくてホッとする。【公文式の鞄が西日に押されて走る】【子どもが興味を失っているのがありありとわかる】【花を丁寧に持つ何も知らない幼い手】子どもに向ける視線の温かさと優しさを感じる。【あげる人などいないどんぐり拾ってみる】が一番好きかな。2025/05/26
キク
52
「まだ春ではないと酔った人が言う」「最後の春だと知らずに飲んでいる高円寺」「春の気配はまだ深い雪の中に」「春を待つくらいの未来はまだある」「誰かのための春であれ」から伝わる春への切望。「独り言が白い息となり天へ」「故郷の最低気温を見て酒を飲んでいる」から伝わってくる雪の冬を生きる覚悟。特に「この静けさは雪だろうと窓へ」は、なんか泣きそうになった。絶対北国出身の人だと思って経歴を見たら、北海道出身で伊集院光のラジオ番組のハガキ職人として出てきた人だった。同じ時代に同じ場所で同じラジオを聴いていた人だった。2024/10/21
jolly
3
自由律俳句、短くずばっと。そしてそれがどうしたとなる。たぶん合ってないんだろう。2024/12/27
スローリーダー
3
著者あとがきには、未来に興味がない、過去のことしか考えないとある。この本の自由律俳句は著者の過去の記録である。特に最終章の「過古」は故郷の大切な人を亡くした鎮魂の句が物語を成している。全体的には、初期よりも凡作が増えたというのが僕の受けた印象。著者の盟友又吉直樹が解説の為に取り上げた句は9割方僕には刺さらなかった。僕が良いと思って選んだのは以下の句。旅先で九月号を買う夏/梅が寒い/畳の目を数えて夕暮れ/必要とされず今日も寝ている/静かな屋根が並んでいる/おにぎりの中に母の時間がある/死が約束を破る/2024/10/10
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