台所に敗戦はなかった - 戦前・戦後をつなぐ日本食

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台所に敗戦はなかった - 戦前・戦後をつなぐ日本食

  • 著者名:魚柄仁之助
  • 価格 ¥1,980(本体¥1,800)
  • 青弓社(2024/08発売)
  • 2025→2026年!Kinoppy電子書籍・電子洋書全点ポイント30倍キャンペーン(~1/1)
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  • ISBN:9784787220615

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内容説明

戦時中の婦人雑誌の料理コーナーは、少ない配給物資をいかに無駄なく食べ尽くすかという「国策料理」ばかり。玄米1升に水2升を入れてふくらませ、さらに水5合で炊く「楠公炊き」をはじめ、いかにかさを増やすかの戦時色のオンパレード。それは、1945年8月15日の敗戦後も変わらず、むしろもっと深刻な食糧難に突入した。「うどんのコロッケ/パン/プリン」「大麦や米ぬかのコーヒー」「おはぎは里芋」「黒豆で人工ぶどう酒」……。
戦前―戦中―戦後の台所事情を雑誌に探って、「必ず食べてから発言する」がモットーの料理人がレシピどおりに実際に作って、食べて、レポートする「食が支えた戦争」。

目次

はじめに

第1章 すき焼き
 一九二八年の「すき焼き」
 鋤や鍬で本当にすき焼きができるのか
 すき焼きのプロトタイプ
 家庭百科事典の「すき焼き」
 すき焼きとはなんだ?
 大阪からやってきたすき焼き
 すき焼きを語る人々
 変わりすき焼きのいろいろ
 そばすき焼きという最終形態

第2章 サンドイッチ
 サンドイッチが和食になった頃
 和製サンドイッチは米不足が生みの親
 一九三三年(昭和八年)の「ツナサンド」は鰹節
 テリヤキバーガーの先祖はもしかして
 穴子サンド
 和風オープンサンドは海苔トースト
 寿司とサンドイッチ

第3章 うどんとマカロニ
 あべかわはマカロニで
 スパゲティ、マカロニ、麺類珍品集
 マカロニ鍋のいろいろ
 うどんのトマト和え
 そばナポリタン
 マカロニ(西洋うどん)の折り方
 マカロニはご飯のおかず?
 『日々活用お料理辞典』から「マカロニー」の項を開くと……
 うどんで、かりんとう
 うどんで、パン
 うどんで、ビスケット
 うどんで、プリン
 うどんのコロッケ
 うどんのうに焼き

第4章 ねぎま
 「ねぎま鍋」のナゾ
 マグロは赤身か、脂身か
 一九七〇年代からさかのぼる「ねぎま」
 一九六〇年代の「ねぎま」は
 一九五〇年代のねぎま汁をたずねて
 ねぎま――戦時篇
 日本陸軍調理法でのねぎま
 ねぎま鍋の黄金時代
 「ネギ鮪」が「ネギ間」に変わるそのとき
 マグロの脂身は足が早い
 冷蔵庫で下剋上
 一九八〇年代の脂身事情
 一九九〇年代は偽装大トロ時代
 ねぎま鍋の生い立ちから終焉まで

第5章 人工葡萄酒
 葡萄酒の自家醸造は合法?だった
 つくりませう!葡萄酒
 甘味代用の葡萄酒も自家醸造だった
 自家醸造のトマト酒
 人工葡萄酒は黒豆で

第6章 おしるこ&珍スイーツ
 ハイカラさんのバナナ料理
 和食?洋食?不明のバナナ料理の数々
 バナナの皮?
 バタくさい葛湯はピーナッツで
 やまいもでホットケーキ
 おはぎ作りは里芋で
 柿で柿餅、柿団子、ブレッド・プッディング
 梨もどきは海軍のデザートにもなった
 お汁粉の歴史――戦前篇
 お汁粉の歴史――戦後篇
 汁粉は……小麦粉で

第7章 カルピスもどきと代用コーヒー
 まさしくカルピス
 カルピス・のようなもの
 モダンドリンク集
 黒豆コーヒー
 紫蘇コーヒーは熱中症対策か?
 大麦コーヒーは発芽飲料だった
 滋養農村コーヒーのこしらえ方
 米糠コーヒー、米糠油

第8章 玉子チーズ
 質問:玉子からすみって、何ですか?
 玉子チーズは「特許品」ですと?
 玉子チーズの前身は玉子からすみだった
 チーズとからすみはおんなじだった
 玉子チーズのルーツは味噌漬けだった

おわりに

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

niisun

26
すき焼き、サンドイッチ、マカロニとうどん、ねぎま、人工葡萄酒、おしるこ&珍スイーツ、カルピスもどきと代用コーヒー、玉子チーズ。。。ちとチョイスが渋すぎたかな・・・。ご本人も“おわりに”で書いていますが、「カレーは?、ラーメンは?、ビールは?」と、もっと気になる食があるような気がします。あとは、もう少しタイトル通りに敗戦後の食糧難の時期の台所にフォーカスされてると良かったかな。中では“ねぎま”の変遷が一番興味深く読めたかな。赤身だろうとトロだろうと、わざわざマグロを鍋にするのはもはや庶民の食ではないですね。2024/09/29

更紗蝦

21
80年代に古道具屋を営んでいた関係で、古い主婦雑誌の付録料理本を入手した著者が、昭和の料理の変遷や創意工夫を検証した本です。凄く面白かったのですが、ちょっと気になったのは、料理雑誌は紙面を埋めるために苦し紛れのやっつけレシピを無理やり載せる場合というのがあり、私が知る限りでは創刊当時のレタスクラブはかなり酷かったですし、私が以前通っていた料理教室の先生も「創刊当時のオレンジページは酷かった」と言っていたので、戦前・戦中の雑誌も「ライターの苦し紛れ記事」があった可能性を考慮すべきなのでは…と思いました。2018/07/06

宇宙猫

19
★★★ 昭和の前半の和洋折衷なお料理について。サンドウィッチに柚子味噌を使ったりハンバーグを挟んだり、今より攻めてて美味しそう。100年たったら令和はこんな料理を作ってた、なんて本が出るのかな。2021/03/07

北本 亜嵐

18
「すきやき」や「サンドイッチ」等、おなじみの食事、昔はどんな風だったのか?著者は当時のレシピを用いて忠実に再現しているが、今ではあり得ない程のとんでもなさ。そのバイタリティさに拍手を送りたくなります(笑)理屈ぬきで面白かった。2015/12/24

シルク

17
……(゚p゚)ゴクリ 「撮影の都合で夜どんなに遅くなるやうなことがあつても、母がちやんと待つてゐてくれて、温いご飯に、私の好きな牛肉と玉葱のバタ炒めのお菜を作つてくれます。これが何よりの御馳走なんです。一日たまつた話を、あれやこれやとおしやべりしながら頂いてると疲れもどこかへ吹つ飛んでしまふほど。」(「名士と人気者の千人料理」『主婦之友』1938年1月号付録)(p.21)高峯三枝子さんの記事。牛肉と玉葱の炒めって、「炒めにでもするか」ってんでよくやるけど、この記事を読んで、自分の中で特別なおかずに昇格。2018/06/05

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