岩波文庫<br> 吉本隆明詩集

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岩波文庫
吉本隆明詩集

  • 著者名:蜂飼耳
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  • 岩波書店(2024/08発売)
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  • ISBN:9784003123317

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内容説明

吉本隆明(1924-2012)は,戦後を代表する思想家であるが,詩と批評,文学と思想の統一を,詩の言葉で自立させた詩人でもある.『固有時との対話』『転位のための十篇』は,戦後詩の画期となった.四〇年代の初期詩篇から九〇年代の最終段階までの半世紀に及ぶ全詩業から精選する.「評論」1篇を併せて収載.

目次

詩 篇
固有時との対話
固有時との対話
少数の読者のための註
転位のための十篇
火の秋の物語
分裂病者
黙契
絶望から苛酷へ
その秋のために
ちひさな群への挨拶
廃人の歌
死者へ瀕死者から
一九五二年五月の悲歌
審判

初期詩篇
一九四一-一九四四
「哲」の歌
朝貌
呼子と北風


草莽?
機械
「時兊」詩篇 一九四六-一九四七
習作五(風笛)
詩稿Ⅳ 一九四六
老工夫
詩稿Ⅹ 一九四八
古式の恋慕
林間の春

遅雪
魚紋
(とほい昔のひとが住んでゐる)
残照篇 一九四九-一九五〇

堀割
凱歌
地の果て
忍辱
定本詩集(Ⅰ,Ⅳ,Ⅴ) 一九六八
一九四九年冬
昏い冬
ぼくが罪を忘れないうちに
抗訴
破滅的な時代へ与へる歌
少年期
きみの影を救うために
異数の世界へおりてゆく
悲歌
日没
贋アヴアンギヤルド
首都へ
恋唄
死の国の世代へ
佃渡しで
〈沈黙のための言葉〉
〈われわれはいま――〉
この執着はなぜ
告知する歌
新詩集以後
新詩集 一九七五
〈農夫ミラーが云った〉
帰ってこない夏
〈この時代からは〉
時間の博物館で
漂う
新詩集以後
太陽と死とは
秋の暗喩
鳥をめぐる挿話
小虫譜
抽象的な街で
海に流した自伝
魚の木
本草譚
活字のある光景
活字都市
十七歳
わたしの本はすぐに終る
記号の森の伝説歌 一九八六
演歌
言葉からの触手 一九八九
書物 倒像 不在
映像 現実 遊び
評 論
現代詩批評の問題
解説(蜂飼耳)
吉本隆明略年譜

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

藤月はな(灯れ松明の火)

56
思想家としてしか知らなかった吉本隆明氏。この岩波文庫で出版された詩集で詩人でもあった事を初めて知りました。戦後、思想が逆転した日本での御仕着せの思想に泥む事に抗い、鋭い視点で捉えて謳う事は鎮魂でもある。「贋アバンギヤルド」の支配者の持つ性質を切り取りながら痛烈な批判を飛ばし、「佃渡しで」の娘に言えなかった言葉は穢れを知らぬ無垢な魂を守りたい哀しみに満ちる。特に「沈黙のための言葉」での「歳月ではなくわれわれを老いさせるのは関係である(中略)裂けた傷と裂けた傷の関係である」は柔らかな拒絶をしてしまう心に沁みる2024/09/21

新田新一

38
吉本隆明は吉本ばななの父親です。この詩集を読んで、吉本ばななの小説の中にある叙情性は、父親から受け継がれたものであることがよく分かりました。それが分かった時に深い感動を覚えました。吉本隆明の使う詩の言葉は、緻密で強靭なものです。でも、その核にあるのは少年のナイーブな感性であり、自然や人の持つ美に共鳴する心です。「十七歳」という詩があります。十七歳のぼくが会いに来て、胸の堰を壊したという詩です。ここに吉本隆明の詩の魅力が凝縮されています。吉本隆明のあの聳え立つ思想の土台は、詩人としての感性にあります。2024/11/29

袖崎いたる

8
詩人として出発しているこの吉本隆明の詩に触れる機会はなかったな。読んでみたら、短い詩篇よりも長いのに良さを感じた。とりわけ「固有時との対話」は効いた。《かくしてわたしには現実とは無意識に生きる場であつたし時間とはそれに意識的に抗ふ何ものかであつた》と想到してみせる通路、風と光と影………グッとくる。この頃からすでにして評論家のまなざしは詩作のうちに胚胎していたようで、この詩のなかに批評意識の動きを感じていただけたら嬉しいですと述べられておる。あとはどれも時代の雰囲気が染みついた重みがある。煙草のようなそれ。2024/09/20

フリウリ

7
蜂飼耳氏による編集。初期の「固有時の対話」「転位のための十篇」を含む初期詩篇から約110ページ、定本詩集(1968)から約70ページ、新詩集(1975)以降から約100ページ、これに評論がついています。吉本さんの詩もまた、後期作品が顧みられない傾向があり、詩人の後期作品を好む人間にとっては不満があるのですが、本書は初・中期に目配りしつつ後期にもページが割かれているのがうれしい。蜂飼氏は解説で、吉本さんの1970~80年代の詩を面白いと思っている、と述べていて、これまたなにか、ほわっとうれしく感じました。92025/02/04

yoyogi kazuo

4
今読んでも痺れる詩が並んでいて、今の若い人たちにも刺さるんじゃないかと思ってしまうのだが、それは自分が吉本隆明について抱いているイメージありきなのかもしれないとも感じる。今の若い詩人にもこういう感性をもったひとはたくさんいるはずなのに見過ごしているのはこちらのアンテナが鈍っているだけなのではないかとも反省。解説を書いている蜂飼耳は1974年生まれだというが共感した。とにかくエモくてかっこいい詩が並んでいるから、まだ読んだことのない人たちにお勧めしたい。2024/09/22

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