内容説明
民法の「組合」と会社法の「会社」と別異に解する日本と異なり,フランスでは,多様な会社形態がすべて「ソシエテ」概念の下に整理されている.これは何を意味するのか.ソシエテ概念を手がかりに,「会社とは何か」を問い直す.日本のこれまでの会社観・会社法制のあり方にも反省を迫る,画期的な研究.
目次
はしがき
序 章―――フランス会社法におけるソシエテ(soci t )概念
第Ⅰ部 フランス株式会社法の形成と展開
第1章 株式会社の原点としてのソキエタス
第2章 フランスにおける株式会社の原型の発生と展開
第1節 フランス南部・トゥルーズの水車事業
第2節 フランス北部の鉱山事業
第3節 フランスの特許会社(コンパニー)
第3章 株式会社法制の基礎の形成
第1節 1807年商法典と株式会社の設立許可制
第2節 設立許可制の下での株式会社の発展
第3節 1867年7月24日の法律と株式会社の設立準則主義
第4節 1867年7月24日の法律における株式会社像
小 括
第Ⅱ部 フランス株式会社法における資本概念
第1章 設立時の資本確保の課題
第1節 設立許可の判断基準としての資本
第2節 全額引受・分割払込制の採用の意義
第3節 現物出資に対する規制
第2章 設立後の資本確保の課題
第1節 確定利息条項の効力と違法配当の問題
第2節 利益の内部留保の正当性
第3節 存続期間満了前の解散基準としての資本金の役割
第3章 株式会社における資本金概念の役割
第1節 株式上場基準としての資本金
第2節 資本金概念の再検討の動きと資本金の機能
小 括
第Ⅲ部 フランス株式会社法におけるソシエテ契約概念の機能
第1章 会社の機能確保のためのソシエテ契約
第1節 株主とアソシエ(associ )
第2節 アソシエの定義をめぐる議論
第2章 フランス会社法におけるアソシエ概念と株式会社における活用
第1節 アソシエであり続ける権利・ソシエテにとどまる権利
第2節 アソシエの義務の増加の禁止
第3節 アソシエの議決権
第4節 アソシエ共通の利益
第3章 株式会社の規制手法としての一般規定とソシエテ契約
第1節 ソシエテ契約の再検討の動き
第2節 2019年PACTE法の制定とその影響
第3節 フランス株式会社法におけるソシエテ・ソシエテ契約の機能
小 括
終 章―――結論と今後の課題
あとがき
初出一覧
用語リスト