内容説明
双極性障害(躁うつ病)に翻弄されず、受け入れて粛々とコントロールする。この病との理想的なつきあい方を実践する作家の極上の文章は、この病に関わる すべての人への最高の贈り物です。――加藤忠史(理化学研究所脳神経科学研究センター)双極性障害Ⅰ型発症から20年。長年この病とどうつきあってきたか、服薬ゼロになった現在からみた心得を綴る 貴重なエッセイ。加齢、発達障害、依存、女性性、ハラスメントなどの話題も。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆいまある
116
双極性障害当事者でもある絲山さんが、こころの科学に連載したコラムをまとめたもの。当事者にとって病気の向き合い方が分かる読み物であると同時に、絲山さんの自己分析でもある。真面目で誠実な人柄がよく出ており、笑いと色気を求める私が、この人に嵌まらない理由も分かった。ただし「逃亡くそたわけ」は名作。病気になった人の為に何かマニュアルがあれば良いとあるが、むしろそれを書けるのは当事者ではないだろうか。医者は壊れた心を治す手助けはできるけど、また壊れないようにする方法については無知だ。自立とは頼る技術である。ホント。2022/02/13
抹茶モナカ
86
双極性障害で通院を続けている絲山秋子さんのエッセイ。自分の抱えている病気について、世間に啓発しようというのが大きな目標になっているというか、編集者側の注文なのか、病気の症状や病気になってからの生活の変化等、詳しく書かれている。絲山さんは、確か、うつ病だったかな程度の認識だったので、躁の状態の話に認識を改めた。僕自身、精神科に通院しているのだけれど、こんなガイダンスのような本を書けるまで自分を客観視するところまでは行けないうちに、薬漬けで死にそうな気がした。本自体は、精神病のことがわかる、読みやすい本です。2019/06/02
k sato
84
双極性障害Ⅰ型の当事者である筆者。Ⅰ型は躁状態が激しく現れる。現在は寛解しており、躁や鬱になりそうなときは自己対処で軽い症状に保っている。筆者は、躁状態だった時を思い出すことが一番辛いと語る。なぜなら、恥だと思っているからだ。一見、元気そうに見える躁状態だが、焦燥感や衝動性から乱買したり、暴言を吐いたり、自殺未遂を図ったり・・・自分らしさが失われる感覚があるという。精神的苦痛にちがいない。病気になった原因は聞いてはいけないことだと思った。想像を超えるエピソードばかりだが、私は当事者に寄り添う人間でありたい2023/05/27
Ikutan
81
30代前半に双極性障害を発症し長期間向き合ってきた絲山さんの闘病エッセイ。一番伝わってきたのはこの病気を理解してもらいたいという絲山さんの強い思い。症状や心掛けていらっしゃること、そして周りの人に望むことなどが、客観的に分かりやすくまとめてあります。仕事柄、患者さんと接することはありますが、このような具体的な声を聞く機会はあまりなく、特に薬についての記述は参考になりました。絲山さんの作品は大好きなので、無理のないペースでこれからも執筆を続けて欲しいですね。同じ病に苦しむ当事者や家族の方におすすめです。2019/04/17
harass
77
レビュで気になり手に取る。数編の小説やエッセイで知っている作家だが双極性障害に長年苦しんできた体験と心構えを語るエッセイ。医学系雑誌に連載されていたもので、やや一般向けではないかもしれない。切実で誠実な人柄が反映されているのか非常に真面目。いろいろ唸る部分もあった。日頃からの自分の精神面の兆候を観察しないといけないようだ。2019/07/20
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