内容説明
台湾で同性婚を認める法律が成立するまでのLGBT運動、政治過程、法の内容を分析し、法施行後の台湾社会の変化と課題を考察する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
榊原 香織
76
アジア初の同性婚OKとなった台湾。 民法を違法とした判決、国民投票で否決されるもその後OKとなる、といった経過にも少々驚き。 投票の横で開票が始まる、というのも台湾的。2022/07/19
カモメ
5
台湾では個人より家庭を重んじる儒教文化に大きく影響を受けており、結婚のプレッシャーが強くカミングアウトに大きな困難が伴った。なかでもゲイの方が大きな期待を注がれ、同性との結婚はハードルが高いとされている。それゆえに匿名性が高い文学や秘密主義的な活動をする同志サークルが活発なのは台湾の特徴と言える。同志の中でも結婚や家族は異性愛強要の元凶しかなく、同性婚運動では「婚姻平等」をスローガンとし、性的指向による差別をなくし平等を達成するという側面が強調された。2022/08/23
ずー
2
台湾は進んだ国というイメージだったが、日本社会同様、同性婚が法制化されるまでには激しい反発があり、平坦な道のりではなかったことを知った。とはいえ、日本と違って政権与党が同性婚推進派というのはかなり大きかったと思う。 法制化される前の民意は反対の方が多かったが、最終的に立法府が、マイノリティの人権は多数決では守れないという考えのもと判断を下したというのはすごいことだと思った。日本は悪い意味で妙に「民意」にこだわるところがあるので、果たしてこういう判断ができるだろうか…と思ってしまった2022/07/20
テッテレこだち
1
タイトル通り台湾における同性婚法成立までと、成立後の経過について、日本の現状との比較を含めて述べている。不可視化されていた状況に対して文学の与えた影響や、法廷闘争の時系列などがわかりやすい。反面参考文献のインターネット上資料が2023年時点でまあまあ404で、8章などで挙がっているものは結構見られない。ネット時代の弊害だろう。 ともあれ「とりあえず日本の当事者はもっと戦え」という強めのメッセージが見られる。2023/03/26