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内容説明
源氏物語の新訳を手掛けた作家・角田光代と、平安文学研究者として注目の山本淳子が、今源氏物語をどう読み、どう捉えるか、紫式部と道長、彰子の関係なども含め、現代の視点から読み解く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
榊原 香織
126
藤壺は#MeToo、薫コミュ障、浮舟意外にラスボス。 源氏の現代語訳し終えた女性作家と源氏女性研究者の対談。 今まで男性目線だったのが変わっていく予感2024/11/28
buchipanda3
94
研究者と現代語訳を完遂した作家の対談。創作の内側も含め興味深く読めた。角田さんは全訳後、小説が書けなくなったそうだ。執筆の観念が前と変わったとのこと。それほどの影響力。山本さんとの対話では登場人物一人一人(主役以外も)の多様な視点で追って物語の世界観を拡げていく。母親の目線もそうだが紫式部の成長と物語の変化を結び付ける観点が面白い。そして性別に関係なく「世」や「身」に縛られるままならなさは時代感が違えど現代もある。千年を越え現代も照らし出し、柔軟な解釈と意義を生み出し続ける懐の深さが源氏物語の魅力なのだ。2024/08/14
nyaoko
49
源氏物語を5年に渡って翻訳した角田さんと、平安文学研究者の山本先生との対談。これは…私の中では源氏物語にまつわる本としては過去1最高に面白い1冊でした。深い。かなり深い。藤壺、紫の上についての現代風解釈も唸るけれども、今放送中のドラマと繋がっていて、本当に上手く脚本が描かれていると感動する。紫式部の時代から、女の自立した人生について悩んで、頑張っていたんだなぁと、益々この作品と彼女を好きになりました。山本先生の他の本も読みたいですね。角田さんの源氏物語も!2024/11/08
sofia
37
山本淳子『源氏物語の時代 一条天皇と后たちのものがたり』がとてもおもしろかったので、こちらも期待していたがよかった!昭和男性的な読み方、解釈に「…(そうかな?違うだろ)」と思っていたので、2人の読み方に非常に納得し拍手した。藤壺の気持ちはそうよね、私もそう思う、だし、紫の上の覚醒の解釈もとてもいい。浮舟は以前よくわからなかったが、この本を読んで見方が変わった。角田光代訳源氏物語を読んでみたい。(「光る君へ」は見ていません)2024/11/29
buuupuuu
25
道長がパトロンだったのは、光君が栄華を極めて終わる第一部までで、第二部以降は、彰子がパトロンとなり、紫式部の好きなように書かせたのではないか、と山本さんは推測している。夫に先立たれた自身の境遇や、宮中で見聞きした事柄などから、紫式部は、物語の中で、女性のあり様についての問いを突き詰めて行ったのだという。かつては男性目線の解釈が支配的だったが、女性研究者が増えることで新しい解釈が生まれているのだそうだ。桐壺帝と桐壺更衣のモデルが一条天皇と定子だという説は1990年代まで登場しなかったそうで、これはやや意外。2024/12/05