内容説明
「本格ミステリ・ベスト10」2年連続1位! ランキングを席巻する鬼才の最新短編集! クラスメイト襲撃事件を捜査する小学校の名探偵。滅亡に瀕した人類に命運を託された“怪物”。郭町の連続毒殺事件に巻き込まれた遊女。異星生物のバラバラ死体を掘り起こした三人組。見世物小屋(フリークショー)の怪事件を予言した“天使の子”。凶暴な奇想に潜む、無垢な衝動があなたを突き刺す。白井智之は容赦しない。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
214
10月の第一作目は、白井 智之の最新作、白井 智之は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。化け物と怪物をテーマにしたバラエティに富んだ短編集、オススメは『奈々子の中で死んだ男』&『天使と怪物』となります。 私の世代で怪物と言えば、やはり『怪物くん』です(笑) https://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/97843341040302024/10/01
青乃108号
202
あの「エレファントヘッド」で俺の脳ミソをグッチャグッチャにしてくれた、白井智之の最新作。大いに期待を持って臨んだ。短編集だったのね。①少年探偵の話②地球外生命体による侵略の話③遊郭の殺人事件④化石に取り憑かれた男の話⑤フリーク小屋での殺人事件、以上5篇。さすが白井作品、短編ながら俺の頭を大いに悩ませてくれた。しかしこれは白井作品である。「げぼ」も「グロ」もなりを潜めており、その点では肩透かしをくらい、物足りなさを感じた。白井作品にはもっと「げぼ」を!もっと「グロ」を!と望んでいるのは俺だけではあるまい。2024/11/19
tonnura007
140
見世物小屋での密室殺人事件。天使の子の予言を携えた神父が事件解決後に封筒を開くとそこに関われていた予言はなんと。 粒揃いの短編集で、5編とも不思議な世界であった。ミステリー×SFというジャンルになるのだろうか。少ない手掛かりからの緻密な推理の組み立てや現場の状況から可能性を広げて多重解決を導く過程は本格推理としても読み応え十分であった。 『大きな手の悪魔』は「どうやって32日目の期限を迎えないか」というテーマで、その課題解決方法が圧巻。そしてあの実在人物をモデルにしていることに非常に驚いた。2025/02/18
みっちゃん
131
凄い。作者は新しい境地を切り開いた、そう感じる。作者以外には考えつかないであろう、奇想天外な状況の下で起きる殺人事件で「異形」の探偵達が繰り広げる多重推理。これまで通りの作者の持ち味、独壇場。私が驚いたのはそれぞれの話のオチ。鳥肌ものの切れ味の結末から滲み出るのは登場人物達の苦しみと悲しみだ。私にはこれまでの作品では登場するもの達はただ話を進める駒、としか感じられなかった。初めてその心情に胸を打たれた。無駄に多い、と思えていたグロ描写が削ぎ落とされたのも大歓迎。作者の評価は変わっていくのでは。喜ばしい。2025/01/17
yukaring
103
今回はいつものやんちゃぶりを少し抑えたエログロ控えめな白井さん。それでももちろん奇想天外でジェットコースターのような白井ワールドは健在。学校の事件を調べる小学生探偵や異星人の襲来で滅亡の危機に立たされた人類の救世主、郭町で起こった毒殺事件や予言をする“天使の子”など「怪物」や「化け物」をテーマに人間の無邪気さや醜悪さ、思い込みなど使えるものは全て使って読み手の心を抉ってくる凶悪な読後感は冷や汗もの。二重三重に仕掛けられた罠やこれでもかと畳み掛けてくる多重推理は切れ味抜群。衝撃的な世界観を堪能できる短編集。2024/09/24