内容説明
古くから、それはきっと人類が誕生したころから、“愛”という概念、感情は存在している。抽象的で捉えられないその感情は、言葉なくして表せられない。
そうしたヒトの感情を、「AIという存在は理解できない」「人の仕事がAIに奪われているとは言いつつも、感情を伴う仕事は奪われることはない」と人々は言う。しかしそれは、真実だろうか――?
そこで本書では、さまざまなフィクションにおける「愛にまつわる言葉」を紹介。その言葉の意味や、性愛・友愛・家族愛・推しへの愛などの、人が持つ“愛”について、AIは理解できるのか、そもそも言葉を理解できるとは、愛を理解できるとはどういうことなのかなどを、言語哲学の視点から解説・検討する。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
34
言葉を理解できるとは、愛を理解できるとはどういうことなのか言語哲学の視点から解説・検討する一冊。AIという存在はヒトの感情を理解できないというのは本当なのか。言語哲学の観点から、愛を説明するのか、言葉を理解するとはどういうことか、偉人や文豪、名作による愛の言葉を理解できるのか、性愛の違いや男女の友情ある・ない問題、マイノリティの愛、推しへの愛、家族愛をAIは理解できるのかを考察していて、AIも様々な愛の形を学習できると思いますけど、微妙なニュアンスをしっかり認識できるのかと問われると…どうなんでしょうね。2024/08/27
マカロニ マカロン
16
個人の感想です:B。表題に惹かれてAudible。知っている人は漱石先生が「I love you」を「月が綺麗ですね」と訳したと理解するが、AIはディープラーニングでそのことも知っている。だが、親が子どもに「自転車が来たよ」を「危ないよ」の意味で使うところまでの文脈がないと判らない。おそらくこれはその場にいないと人でも判らないこと。「萌え」と「推し」の違い、「ペットも家族」で夫が帰宅しても妻も子も出迎えてくれないが、トイプーだけが大喜びで玄関に迎えに来てくれる話は心当たりありすぎて、泣きそうになった!2025/03/23
hitomi
15
図書館の新刊コーナーで見かけて。映画やドラマ、小説、漫画などから「愛の言葉」を抜粋し、それをもとに言語哲学的に「愛」を論じる本。古典や名作だけでなく、最近の作品も多く取り上げられていて興味深かったです。恋愛に限らず、推しやペット、家族などに対する愛も論じられていて飽きずに読めます。愛の形は、どんどん多様化しているんだなと思いました。ただ、AIについての記載は取ってつけた感があったのが残念。タイトルと中身が合っておらず、タイトルに「AI」と入れたかっただけなのか…。面白かっただけにもったいない気がしました。2024/10/25
九曜紋
14
まず、掴みとして夏目漱石がILoveYouを「月が綺麗ですね」と訳したとされる事例を挙げ、AIはこれを理解出来るのか?という問いを立てる。「愛」と「言語」と「AI」の三元連立方程式を解こうとする壮大かつ野心的な試みである。性愛(エロース)から神の愛(アガペー)までの数種類にカテゴライズできた過去の「愛」は勿論、多様化かつ複雑化した現代の「愛」も図式化さえ出来れば、即ちアルゴリズム化さえ出来ればAIは理解可能だ、というのが著者の仮説。言語哲学の専門家としての知見は尊重したいが、正直なところ私は懐疑的である。2024/08/09
ごへいもち
12
漱石(ではないとかいう話だけれど)の名訳に惹かれて手に取った。パラパラと読んだけれど不案内な分野のためうっすらとしか理解できず2024/10/26