内容説明
遠州峰生の名家・遠藤家の邸宅として親しまれた常夏荘。10歳の時にこの屋敷に引き取られた耀子は、寂しい境遇にあっても周囲の人々の優しさに支えられて子ども時代を生き抜いてきた。 時を経て38歳になった耀子は、ある日、夫の龍治から突然離婚を切り出される。その思いもよらない理由に耀子は驚くが、それを機に自分にとって本当に大事な人が誰だったのか、思いを巡らし始める―。 耀子の葛藤、娘・瀬里の巣立ち、義母・照子の愛。 激動の時代に遠藤家の三代の女たちが守り抜いた家と暮らしは、峰生に暮らす人々にとってもかけがえのない居場所になっていく。 伊吹有喜デビュー15周年記念作品。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
261
伊吹 有喜は、新作中心に読んでいる作家です。シリーズの完結篇と知らず、伊吹有喜デビュー15周年記念作品という事で読みました。そのせいか「常夏荘」というネーミングに違和感(常夏と言えば、南国、沖縄・奄美等のイメージ)覚えつつ読了してしまいました。 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000867.000031579.html2024/10/02
いつでも母さん
181
あぁ、遂に完結なのだなぁ。そうか、こんな形になるのか・・ちょっぴりモヤモヤ感はあるものの大団円とはこういう事なんだと、彼ら彼女らの歳月を、生き様を、心情を堪能した。ギューッと凝縮された想いはここに昇華され、最後まで龍治派だった私の気持ちを静寂の海へ解放した。「凛として美しく、そして自由に二人して生きて行け!」そんな祝いの言葉を贈りたい。ここまで読ませて頂いて伊吹さんに感謝だ。それにしても天と地と今度は人だと思ってたけれど、そもそも人(なでし子)からのスタートだったと今、感慨深い作品だった。2024/09/02
のぶ
171
なでし子物語シリーズ完結らしいのですが、自分は過去に一冊しか読んでいない。本書も流れが掴めず戸惑ったが、徐々に引き込まれた。照子、燿子、瀬里、三人の女たちの、ままならない今と、自分でつかみ取っていく未来。燿子が、夫に突然突きつけられた「離婚の理由」、そして二人で決めた結末。山の集落の、代々続く名家で生きる女たちの、変わるべき今を伊吹さんの真摯で静謐で上品な言葉たちが紡いでいく。常夏荘を取り巻く人々や、環境にいろいろな事が起きて面白かった。時間があれば未読のシリーズを読んでみたい。2024/08/20
ちょろこ
160
たどり着いた一冊。シリーズ最終巻。長い間ふわふわと着地できなかった心がようやく地にたどり着いた、そんな想いでいっぱい。峰生という閉塞的な世界、口さがない数々の言葉やしがらみの中、どれだけ顔を上げて前を向けるか。耀子の姿は今まで以上に沁み込み、誰もの感情と生き方にもまた胸を打たれた。そして混じり合うかのような心と時の溶け合い。出会いからの苦しみも喜びも全てがマーブル模様となって心におちてきた気がする。誰もの時間に何一つ無駄なことはなかった。涙ながらにそう思う。時と想いが奏でた物語を今、眩しさと共に心に封印。2024/09/09
道楽モン
150
そして大団円を迎える第4作目。もはや地方名士(ま、成金なんだけど)一族の物語は、予想を遥かに超えた舞台にたどり着きます。屋敷の広大な土地を利用して、野外フェスを開催しちゃいます、この住民たちは。SNSの影響でネット通販も盛況だし。最後は約束通りに、二人の主人公は結ばれるのですが、ヒロインの離婚(形としては死別だけど)の真実が、これまた驚愕でした。もう、物語を完成させるために何でもアリという作者の貪欲さは、本当に素晴らしい。物語を堪能しました、エンタメ作品として文句のない過剰なまでのサービス精神に脱帽。2024/09/30
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