内容説明
姦計により逮捕されたダンテス。誰が味方で誰が敵か。脱獄し巨万の富を得、モンテ・クリスト伯となった彼の未曽有の復讐が始まる!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Shun
32
牢獄生活中にエドモンはイタリア出身の聡明な神父と知己を得て、彼の膨大な知識と知恵を受け継いだ。そして神父の遺志を継ぎ辛くも脱獄に成功した男は、神父に託された財宝を探しにモンテ・クリスト島へ。そこに秘匿されていた財宝によりエドモンは伯爵の地位を得て、財力と知能を有する復讐者へとなった。この巻ではエドモンを虚偽の罪で陥れた首謀者たちへの復讐を成すために、人脈作り等の下準備といった種を撒く段階が描かれる。そしていよいよ彼が復讐するべき標的の手の届くところまで接近し、次巻では遂に物語が大きく動きそうな予感。2024/11/21
katokicchan
11
訳文については、新訳の読みやすさを岩波旧訳と比べてみた。毎月購入ローンのように変えるが、岩波中古で廉価に入手できるため、読みやすくないといけないと思ったからである。新訳といっても、訳者は重鎮な方だし。両者の最初の10ページ程度を比較したが、やはり圧倒的に読みやすい。岩波の方も悪くはなく、基本は読みやすいのだが、使っている言い回しや言葉の選び方に旧時代性が感じられたので、やはり新訳に長があると思った。2024/12/19
NY
8
冒頭でモレル一家が破産から救われた感動の場面を過ぎると、モンテクリスト島、ローマ、パリと目まぐるしく舞台を移しながらも、粛々と復讐の準備を進めるモンテクリストの内面を反映してかややゆったりとした展開に。19世紀の若い貴族の長旅や、シャンゼリゼより西のパリがまだ郊外だった様子が窺えて興味深い。モンテクリストが最初に居を構えたシャンゼリゼの30番地は今はどうなっているだろうか。2024/12/24
雫
3
モレル商会は船乗りの信頼も得ていて、とてもいい人なんだと思った。破産のシーンはドキドキした。そしてダイヤモンド(高額な財産)は、やはり持つ人を選ぶなと思った。モンテ・クリスト伯はどっち側なのだろう?2025/02/09
でとむ
2
現代フランスのミステリを読むと感じる、リアリティの欠如やご都合主義といった違和感(「念入りに殺された男」とか「ネプチューンの影」とか、ただしネプチューンはとても面白かった)の1つの源はこの作品にあるのではと思った。「面白ければいいだろう」というのがフランスのエンターテインメントの根底にあるんではなかろうか。モンテ・クリスト伯ではそれが大成功していて、牢屋の隣にたまたま才人の神父がいようが、何も気にならずただただ面白いだけなので、さすがはデュマ。これはきっと離れ業で、誰でもできることではない2024/11/17