内容説明
87分署の面々が少年の取り違え誘拐事件を追う。ハリウッド・リメイク決定の映画「天国と地獄」の原作にもなった傑作が新訳で登場
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひで📚🏈
42
堂場瞬一さんの「新訳版」本屋さんで見つけて即買いしました…数十年ぶり!の再読でした。「自分の罪のつぐないを払わされるのさ」→「自分の身代金をはらうのさ」新旧を比較してみるとなかなか面白い!堂場瞬一さんのインタビュー、最後の「余談」もなかなか興味深く面白かった!ぜひ、新訳版の第2弾、第3弾も期待したいです。2024/09/10
森オサム
36
著者初読み(エド・マクべイン、堂場瞬一共に)。87分署シリーズ十作目。1959年のアメリカの作品なので、社会風俗的にはピンと来ず。また誘拐犯人と被害者?キングの描写がずっと続くので、87分署の刑事達のキャラが分からず少々残念では有った。が、本作のテーマで有ろう格差の問題や、他人の子供の身代金を払えるのか?、と言う所謂究極の選択は胸に刺さる。そう言う意味では読んでる間ずっと重苦しく、自分だったらどうなんだろう?と考えずには居られなかった。映画「天国と地獄」は20年以上前に一度観たきり。この機会に観直したい。2025/01/23
みつ
35
初マクベイン。警察小説として名高い「87分署」シリーズの一冊であるが(さすがに名前だけは知っていた)キャレラ刑事他警察官の活躍は思いのほか少ない。大富豪の息子と誤って運転手の息子を誘拐した犯人グループからの身代金要求に、会社を手に入れるためにどうしても金が必要な富豪は応じるのか。運転手のみならず自分の家族、さらには警察の訴えも受けながらジレンマに晒される富豪の姿は、傲慢さよりも痛々しさが目立つ。一方で犯人グループの側も家族が翻意を促し、犯人が傍受した警察無線が織り込まれることで緊迫感を高めてゆく様は見事。2025/07/03
しゃお
33
〈87分署〉シリーズの中でも代表作と呼ばれる作品を、作家の堂場瞬一さんによる新訳で読む事ができました。〈87分署〉シリーズは初期の数作しか読んでいなかったので、こういう機会は嬉しい。お馴染みの刑事達が脇に回って、身代金を支払うのかどうなのか。そして犯人達はどう金を受け取るつもりなのか。徐々に緊張感高まっていく様子が一気に読ませます。車の装備について序盤で指摘しているのに肝心なところで忘れていたのは頂けませんがw 黒澤明監督により映画化された『天国と地獄』、多分観ていないと思うので観てみたい。2024/12/06
geshi
27
黒澤明の『天国と地獄』の元ネタならさぞやサスペンスフルなのだろうと思って読み始めたら、話がなかなか進まずモヤモヤ。警察小説の割に警察側の描写が少なく、中心にあるのは「人生を賭けた大金を他人の息子のために差し出せるのか?」というキングの葛藤。人道もあるだろうがそりゃ迷うだろうと思い、妻に、運転手に、警察に人非人扱いされるのを見ると苦い思いが伝わる。一方で犯人側にも誘拐を是認しないキャシーと冷酷に振舞うサイとの葛藤が描かれる。誘拐劇を通じた人間の善性はどこにあるのか?の話としては濃密。2025/02/11