内容説明
20世紀末。パリ郊外の城に滞在するため車を走らせるクンデラ夫妻。速さに取りつかれた周囲の車は、まるで猛禽のようだ。クンデラは、18世紀の小説に描かれた、ある貴婦人と騎士が城に向かう馬車の旅、そしてその夜の逢瀬に思いを馳せる。一方、城では昆虫学会が開催されていて…。ふたつの世紀のヨーロッパの精神を、クンデラならではの、重さと軽さ、哲学と冗談、夢と現実世界が往来する。それまで母語であるチェコ語で書いていた小説を、初めてフランス語で執筆したことでも注目される作品。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ふみふみ
15
前半はクンデラさんらしいペダンチック臭漂うエッセー風エソードの連続で、後半は城のレセプションホールを舞台に学者たちのスペキュレイティブ喜劇と言うのかソープオペラ(シットコム)が繰り広げられます。このドタバタがとてもシュールな構図で笑えますし、ペニスが喋り出したり、18世紀の小説と物語が交わったりとマジックリアリズムっぽさも醸し出してます。本書のモチーフ、緩やかな快楽主義へのオマージュはいまいちピンときませんが、小説としては十分面白いですね。2024/07/16
mtht
7
読了。話の筋が難しくてモチーフである"緩やかさ"を掴むのも難しいと思ったが、それを含めてこの小説の面白いところでもあると思うし、あの一節は自己言及だったんだなと思えるところがあり、それでこの話を納得しました。2024/06/28
ぷるいち
4
読んでいる最中に声出して笑ってしまった。クンデラというと「軽さ」「不滅」のせいで、超絶技巧で、すごく高尚なもの書いた作家にとらえられているけど、もっとライトに楽しんでいいと思う。「冗談」なんかも明らかに笑いを狙ってる下ネタありますよね。2025/05/28
たけし
4
短い喜劇。クンデラらしい登場人物が入れ替わり、今回は時代も入れ替わる。しかし、悲壮感はなく、軽く仕上がり。速さは忘却を求めるから。もはや余韻など欲しくなく、皆んなに忘れ去られたいから、耐え難い自分自身を忘れ去りたいから、速く動くのだという。なるほど、そんなところはあるかもしれない。忘れたくないようなひと時など日常にそうあるものでなく、それらもあっという間に過ぎていく。次にそれが来るのが待ちきれないから、また速く動いていく。そんな感じか。2024/11/17
イコ
4
ある城にクンデラと、クンデラが思い出しているある小説のキャラと、同時代にいるある人が、時間の枠を壊しつつほぼ同時に語られる。目立ちたがり屋ついて分かったようで分からないような、笑える内容にしては難しい。2024/10/13
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