内容説明
高校2年の夏休み、水難事故で幼馴染の一ノ瀬ユウナが死んだ。喪失感を抱えながら迎えた大晦日、大地はふと家にあった線香花火を灯すと、幽霊となったユウナが当時の姿のまま眼の前にいた。不思議なことだが、ユウナが生前お気に入りだった線香花火を灯したときだけ姿を現すらしい。その日から何度も火を点けて彼女と会話する大地だったが、肝心な気持ちを言えないまま、彼女を呼び出すことができる製造中止となった線香花火は、4、3、2本と減っていき……。乙一の真骨頂! 線香花火のように儚く、切なさ溢れる青春恋愛長編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
星野流人
54
めちゃくちゃ良すぎて半分読んだくらいのところから最後まで一気読みして、めちゃくちゃ泣いてしまいました。ヒロインのユウナは死んでおり、線香花火を灯した時にだけ現れる。死者である彼女に未来はなく、恋愛小説として先に続く物語はない。大地とユウナのやり取りはとても自然で楽しげで、だからこそ生者と死者というふたりを断絶する大きな壁の存在が切ない。延ばし延ばしにしていたユウナとの別れのエピソードが不意に訪れる展開も秀逸で、話運びの上手さに脱帽する他ないです。めちゃくちゃおもしろかったし、すごく良質な切ない恋物語でした2024/07/04
nemuro
50
先月、「岡書 帯広イーストモール店」にて、随分とご無沙汰な乙一だなぁと思いつつ購入。かつては集中的に読んでいた作家だが、読メ(2009年1月登録)での既読本は、①『さみしさの周波数』(函館市中央図書館/2010年9月読了)と『箱庭図書館』(2014年1月読了)の2冊。①の「あとがき」に「小生の新作はこれを最後に当分発表されない予定である」とあったようで、たしかに。一方、本書「略歴」には「複数の別名義で小説を執筆」ともある。さて本書。「切なさ溢れる青春恋愛長篇」なのだが乙一作品としては物足りなさも否めない。2024/09/10
もぐもぐ
45
17歳の夏休みに事故死した幼馴染の一ノ瀬ユウナが、線香花火を灯した時だけ主人公の前に現れる。ずっと好きだった気持ちを言えないまま、線香花火の数が減ってゆき、、、とっても切ないけど温かい青春物語。カバーイラストがloundrawさんだったので映画の『サマーゴースト』にちょっと似てるって思ってたら、そちらも脚本が乙一さん(安達寛高さん)でこの本は姉妹作だったのね。2024/09/23
よっち
43
小学校の時に転校してきて幼馴染として一緒に育ってきた一ノ瀬ユウナ。17歳の時、水難事故で死んだはずの彼女が当時の姿のまま、大地の目の前に現れる青春小説。ユウナのお気に入りの線香花火を灯すと、大地にしか見えない彼女が姿を現す不思議な現象。ユウナに会うために伝えていない気持ちを抱えながら何度も線香花火に火をつける大地。そのまま大人になれば結ばれたんだろうな…ともう叶わない未来をつい想像してしまう2人がとても切なくて、だからこそそのあっけない幕切れには呆然としてしまいましたけど、最後がまた印象的な物語でしたね。2024/06/20
HMax
40
子供の夏の一冊お薦め。いきなりユウナが死ぬ辺り、どこかで読んだような気がするなと思いながら読了、とは言いつつ、そこは乙一さん、ユウナが好きだった線香花火を灯した時に大地だけがユウナと触れ合うことができる、という設定が物語に捻りを与えてくれる。いつまでも先延ばしにすることは出来ない大地とユウナとの別れ。 寂しくも心静まる夏のひと時を与えてくれました。2024/08/03
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