内容説明
先住インディアン、黒人奴隷、各国の移民らの食文化が融合したアメリカの食。そこからバーベキュー、フライドチキン、ハンバーガーなど独自の食文化が形成されたが、画一化されたファーストフードや肥満という問題をも引き起こした。そしていまアメリカではスシロールをはじめとする、ヘルシーとエスニックを掛け合わせた潮流が生まれ、食を基点に農業や地域社会の姿が変わろうとしている。食から読む移民大国の歴史と現在。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
kinkin
113
ちょっと硬めの文章、でも内容はよかった。アメリカに移民してから現代に至る食文化とファーストフードのことまでがその歴史と人種の関係などが書かれている。移民したとき先住民に食で助けられたということは知らなかった。黒人奴隷として連れてこられた人々によって生みだされたジャンバラヤやガンボ、バーベキューやチリ、そしてマックやコーラ、スパムやフライドチキンといった今ではアメリカと切り離せなくなっている食品のことを細かく知ることが出来た。単一民族の日本でも海外からの食材で生活も変わってきている。 これからもまだまだ・・2019/05/24
アキ
112
これは良書です。同じ中公新書で「スポーツ国家アメリカ」と同様、ひとつのテーマから文化・国家を論じた慶応大学の講義から興した文章。生命の維持に欠かせない食べ物はその国の文化と直結している。イギリスの植民地から発展したアメリカの食事は非イギリス起源のものが多く、様々な文化の混合としての食事の変遷がよくわかる。マックやケンタッキーといったファーストフードだけでなく、ケチャップやカリフォルニアロールの起源も、南北戦争から産業社会、戦後のヒッピー文化と関わりがあったことを知ると、現在の食べ物に対する解像度が上がる。2023/12/02
佐島楓
76
アメリカの多様な食の歴史。移民と先住民と黒人奴隷の文化の融合という視点は大事だと思った。ハンバーガーひとつとっても、ドイツ系移民と利便性の合致がなければ生み出されなかったもの。世界中の食文化を取り込んで、これからどのように発展していくのだろうか。2019/05/10
rico
70
アメリカ。ファーストフードにボリューム一辺倒のアンバラスな食事。確かにそれは貧富の格差拡大と強く結びついてるけど、例えばハンバーガーのパテのルーツはドイツ、ピザはイタリア。遡れば、初期の移民やネイティブアメリカン、黒人奴隷の食文化が融合し生まれた多彩な料理の豊かさ!それは多様な人や文化を取り込んできた、豊かなアメリカそのもの。利潤・効率追求の結果、現代アメリカの食は多くの問題を抱えるが、それに抗する動きも紹介される。そこに食とアメリカを愛する筆者の祈りに近い想いを感じる。この人の著作、もっと読んでみたい。2019/07/17
あすなろ@no book, no life.
65
フュージョン料理、即ち混血創作料理と言えるアメリカ食の文化変遷を書く本。実はもっと違う内容かと思っていた。あれだけ若い頃僕が飲んだジャックダニエルがトウモロコシの酒なのにも意味あり、薬として薄くコカイン入りでスタートしたコーラにも意味がある。フライドチキンの原点を作り出した黒人達にも意味あり。逆説的にアイスティーぐらいしか紅茶を飲まない唯一の旧英国領であるアメリカには強烈な敵愾心が見える。面白いものである。そして、食には過去の記憶が詰まっているという書き出しに深く頷くのである。全ての食は記憶媒体なのである2019/07/13




