内容説明
根室海峡に三姉妹の愛と憎しみの華が咲く。それぞれの愛を貫き、男の屍を越えた先に待つものは。直木賞作家が放つ波瀾万丈エンタメ!
解説は小説家・青山美智子氏!
24年5月から桜木紫乃、4作連続刊行! 第一弾『凍原』、第二弾『氷の轍』、第三弾『起終点駅 ターミナル』、第四弾『霧』と続きます。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まる
38
舞台は昭和30年代の根室、名家である河之部水産の三姉妹。長女は政界を目指す運輸会社の長男に嫁ぎ、三女は実家を継ぐため地元信金の次男と婚約。そして主人公の次女珠生はやくざから土建会社を興した相羽の妻となる。 表も裏も三家が仕切る道東の街。その男たちを時に表から時に裏から支える女たち。 姉妹と言えど三者三様の生き様は互いに容赦がない。情念と情念がぶつかり続けるのも血が繋がった故か。 最後の珠生の覚悟が潔い。桜木紫乃さんの小説は野付半島の荒涼とした風景がよく似合う。 2024/10/31
はち
19
道東出身の私にとって、この作品は胸熱な最高の一冊🙌。舞台は根室。昭和30年後半から40年にかけての約6年間を描いている。主人公は、名家三姉妹の次女。長女は政治家へ嫁ぎ、三女は経済界、本人は裏稼業の組長の妻となる。姉妹ならではの腹の探り合い。自分の気持ちに蓋をしてプライドだけで己を支える次女の姿に胸が痛い!ずっと野付半島の霧に包まれているような、、、そんな感じ。私が小学生の頃、大人の話には「拿捕」とか「密漁」とかよく出てきていた。身近な外国といえば「ソ連」。物騒な単語も多いが、どこか懐かしかった。2025/06/01
けんけんだ
14
根室を舞台にした名家三姉妹の物語。極道の妻たち風な大河ドラマみたいで面白かった2024/09/05
咲
3
「ここ、どこですか」「砂嘴です。野付半島の。」野付半島。風が強くて、身を切るように寒くて、強い波が防波堤を乗り越えて車道まで濡らす場所。霧の中から鹿の群れが現れる。冬には山が雪をかぶってその輪郭を強調し、島々が存在感を増す。流氷が来と海が凍る。氷の海の上を、あの島まで、歩けてしまえそうな場所。何度も何度も足を運んだ、特別な場所。ラストシーンの野付半島の風景は、あの冷たい風とともに、映像として私の目に、ありありと浮かんだ。文字によって、それまで幾度となく見た景色と、物語の景色が、交じり合い出現した。2025/02/22
クロマキー
3
桜木紫乃の書く女の生き様は静かだけれど迫力がある。2024/09/18