内容説明
舞鶴の海辺の町で発見された、記憶喪失の青年。名前も、出身地も何もかも思い出せない彼の身元を辿る手がかりは、唯一持っていた一本の「扇」だった……。そして舞台は京都市内へうつり、謎の青年の周囲で不可解な密室殺人が発生する。事件とともに忽然と姿を消した彼に疑念が向けられるが……。動機も犯行方法も不明の難事件に、火村英生と有栖川有栖が捜査に乗り出す!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
404
久々の作家アリス国名シリーズ。う~ん、まずまずかな…。アリスが捜索に頭を悩ませる冒頭などは、一部ファンは喜ぶ場面なのかもしれないけれども、何を書くか定まっていない状態で、ぐだぐだに連載を始めたんじゃないかと疑ってしまう自分がいる。それほどに序盤にしまりがない。中盤、事件が展開し始めてからは楽しめたが、解決編がまた微妙。日村先生も仰る通りに、積極的な論理による犯人指摘ではなく、辻褄合わせの推理になってしまっている点がちょっと残念。ただの欲まみれのこの真相を暴くのに何の心構えが必要だったんですか火村さん?2024/09/07
starbro
221
有栖川 有栖は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。 火村&有栖国名シリーズも継続して読んでいます。安定の面白さですが、マンネリ感は否めません。 本書で、日本扇が日本の発明品であることを知りました。 私の勤務している会社では、夏のノベルティで顧客に扇子を配っています。 https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=00003956842024/09/27
パトラッシュ
216
特殊設定全盛の今日でも、ミステリ読者には本格の謎解き物を求める保守派というべき存在がある。そんな岩盤層にとって著者は新本格派系のように理論や主張を打ち出すタイプではないが、古典ミステリの系譜を継ぐ数少ない作家なのだ。今作も社会派要素や派手な異常者はおらず、記憶喪失の青年と密室殺人の謎に昭和的な家族の嫌らしさ風味も混じる事件を火村とアリスが調べていく。彼らは快刀乱麻を断つ名探偵ではなく、警察の捜査や足で調べた成果を積み重ね真犯人に迫る。いわば安心して読める王道作だが、現代では逆に新しさを感じるのが不思議だ。2024/11/23
ちょろこ
122
どっぷり浸れた一冊。国名シリーズ、しかも舞台はジャパン。季節の香り、情景を思い浮かべながらどっぷり火村&アリスの時間に浸れた。どんなに時間が流れても変わらずそこに居てくれる二人にどれだけ癒されることか。改めて"好き"を噛み締められた幸せ感も混ざる。今作は1本の扇から始まる不可解な事件と絡み合う人生。埋まり行く時間、事件のピースが固く閉じていた扇を開き、辻褄があった絵模様に思わずため息。幾つものやるせないタイミングのせつなさが心に広がった。そのせつなさがゆっくり波にさらわれゆくような美しいラストがまた好き。2024/10/03
ゲンタ
111
Mephistoで連載を読んでいても収集癖のために、購入します。タイトルが統一性あって大好きです。〈国名シリーズ〉11弾!2024/07/25
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