光文社古典新訳文庫<br> 19世紀ロシア奇譚集

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光文社古典新訳文庫
19世紀ロシア奇譚集

  • 著者名:高橋知之【編・訳】
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  • 光文社(2024/08発売)
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  • ISBN:9784334103958

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内容説明

屋敷に棲みつく霊と住人たちの関わりをユーモラスに描く「家じゃない、おもちゃだ!」、ある女性に愛されたいために悪魔に魂を売った男の真実が悲しい「指輪」、列車で同席した五等官がわたしに特定の駅で降りろと勧める「乗り合わせた男」、悲劇的な最期を遂げた歌い手の秘密に迫るにつれ……文豪トゥルゲーネフ作の心理ホラー「クララ・ミーリチ――死後」など7篇。リアリズム礼賛の蔭で忘却されてきた怪奇幻想の豊饒な世界。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

102
ロシアの奇譚集と書かれていますが、内容的には幻想小説が多いように思われました。もう少し怪奇小説の類を期待していたのですが、おとぎ話的なものが殆どです。ただ今までロシアのこのような話はあまりなかったので(唯一創元推理文庫の怪奇小説集の5がドイツとロシアの話を収めています)、19世紀のロシアの状況が比較的わかるような感じになっています。訳者による解説がわかりやすく非常に参考になりました。2025/06/07

HANA

80
ロシア文学というと『カラマーゾフの兄弟』や『戦争と平和』のような長大重厚な神と人とは、とか人生は何ぞやといった主題を大上段から振り下ろしてくるようなイメージがあるが、その陰に隠れて神秘や軽妙さという一面も確かにある。本書はそんな一面が押し出された一冊。冒頭から全裸で登場するマッドサイエンティストに度肝を抜かれた後は、家霊ドモヴォイと男女の恋が右往左往する話、死んだ男の例に付き纏わられる官僚やツルゲーネフ描くファム・ファタル等どれもロシア的想像力の限りが楽しめる。怪談でも幻想文学でもなく、まさに奇譚でした。2024/12/06

藤月はな(灯れ松明の火)

66
近現代においてリアリズム小説が多いという印象(主にドストエフスキーとトルストイのせい)が強いロシア文学。しかし、そんなロシア文学界にもファンタジー且つユーモラスな幻想譚は息づいていた!「アルテーミー・・・」は幕開けはゴシック小説そのものなのに愛すべき性格だが、奇矯な発明家(しかも発明品は結構、役に立たない)の奇天烈な言動とそれに悩まされる家人の嘆きがコメディチックに描かれる落差が凄まじく、楽しい。猫可愛がりする家長によって異性装を強いられ、世間から隔離された男女を家霊ドモィが恋の架け橋となる「家じゃない、2025/10/30

sin

57
順番に⇒酔狂な発明家、或いは善良なる老執事に誓った約束は如何に簡単に忘れ去られることか⋯。貧乏な貴族、或いは救済はコケにされた神秘家の一途にあったと云う顛末。世間知らずな男女、或いは家の精の安寧と転落は二人の行く末に何を及ぼしたのか?輪番の受難者、或いはしゃべるが脳科学的に純粋視覚型幻覚だろう体験との遭遇。先へと急ぐ男、或いは認識した友の死は男の現状を暗示したものである可能性?五等官では無い男、或いは人懐っこい亡霊の忠告に間一髪の命拾い。初心な青年、或いは女優の死に依って愛と云う呪に縛られ惹かれ逝く末路。2025/08/12

NAO

55
マッドサイエンティストに遭遇してしまった語り手の困惑に笑わずにはいられない「アルテーミー・セミョーノビィチ・ベルヴェンコースキー」。近代化とともに居場所を失っていく祖霊同士の滑稽ないさかいと若い男女のロマンスを描いた民話的な話「家じゃない、おもちゃだ!」。電車の中で執拗に役職を聞いてくる奇妙な男が言った不穏な言葉、なんとも薄気味悪いの悪い怪談「乗り合わせた男」。奇妙な指輪の因縁を描いた「指輪」。トゥルゲーネフの「白鳥の歌」といわれる「クララ・ミーリチ  死後」など、7編。2025/04/25

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