内容説明
戦後最悪の凶行から次々と発覚した、県直営の障害者支援施設による問題。
無知、衝突、対話……孤立無援の中で行う改革は
闘争と奇跡の連続だった。
――これは、私の懺悔録である。
障害者ら45人が殺傷。「戦後最悪」の凶行とされた津久井やまゆり園事件から始まった知事としての長い闘い。
「いのち輝く」を標榜する神奈川県で、次々に発覚した県直営の障害者支援施設による虐待事件。
障害福祉への知識不足を痛感しながらも、障害者や障害者家族、職員たちと対話を重ね、県議会からの反発を越えて、いかにして抜本的な改革を行ったのか。
誰もがともに暮らせる地域共生社会を目指した知事の苦悩と信念、覚悟と格闘の記録
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ただぞぅ
7
現場にこそ真実がある。元キャスターであり長く報道の世界に身を置いてきた著者にとって揺るぎないもの。だが目に見えたものだけに捉われれば逆に真実が見えなくなる。障害者ら45人が殺傷されたやまゆり園事件をトリガーに始まった知事の苦悩と闘い。県直営施設が戦後最悪の凶行事件の舞台となり矢面に立たされるなか目に見えないことへの想像力が欠如していたことは否めない。マスコミへの対応は際立つ。だが早期原状回復に躍起になるあまり現場の声を疎かにした結果、足踏みするはめに。前代未聞の事態だからこそ冷静さが不可欠だ。2024/09/10
kumpun
1
ほぼテレビから受ける情報ばかりでだったので、しっくりしないことが多くて読むことに。どちら側がというわけではないが、当時の衝撃は未だに忘れられない。2024/10/21
ぷにちゅ
1
言葉が上から目線な表現が多くて、なんか、イヤだなぁと思いながら読みました。 でも、後半、障害者と対話を重ね、彼らの目線に立つとはどういうことなのか?を考え、動かれた姿は感動しました。 この動きが、日本や地球全体に広がれば、みんなが笑って過ごせるのにな、と思いました。 蟻の目と鷹の目を持ち、小さくてもいいから一歩ずつ前へ向かって進めていただきたいです。2024/10/14
さの棒術
0
黒岩知事を少し見直しました。ただ、どこをどのように誤解していたのか、いくら考えても分からない。キャスター時代から熱い人だったし、バイタリティ溢れる人だったし、芯の強い人だった。この本では障害者福祉に関する激闘の経過が書かれています。読んでいて何度も目頭が熱くなった。黒岩さんの取り組みは称賛に値する。自身の決断が誤りだと気付いた時、間違いを認め大胆に方向転換する勇気に感服しました。恐らくこの一点に痛く感銘したので、誤解していたのはこの辺りかもしれない。2024/12/04
笹森 雅弘
0
同じ系列の施設と思っていたら、委託と直営の違いがあったのは知らなかった岩手でも?お思いつつ。脱シセツを掲げても、現場から変わらなければ、何も変わらない。虐待問題は、職場の雰囲気も大きい。そして、足を踏み入れた時の「?」なんか感じるものがある。その違和感を周囲が伝えていかなきゃ、無くならないのかも。2024/09/30