内容説明
派遣社員、彼氏なし、家族とは不仲。冴えない日々を送る葉奈は作家になる夢を叶えるべく、戦時中の沖縄を舞台に勝負作を書くこと決意。しかし取材先で問題の当事者ではない人間が書くことの覚悟を問われ…。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
rico
71
穴、に、される。慰安婦にされた半島出身の女性が自らのことを表した言葉。あまりにも的確すぎて、酷くておぞましくて。戦中戦後、凄絶な人生を生きた彼女と、新人賞を狙う小説のため沖縄と慰安婦を取材する令和の女性。2人の視点をいきつ戻りつ進む物語は、現代パートがなくても成立したかもしれない。が、その存在が、この問題の重みや難しさ、さらに、それが今にもつながるものであることに思い至らせる。生きるために「穴になる」ことを選ばざるを得ない、例えば夜の街にはそんな人々がいくらでもいる。本質は変わってない。歴史と事実が重い。2025/07/31
akiᵕ̈
27
会社に勤めながらも小説家を目指している現代パートの〈私〉と、その小説の題材としてどうしても書きたいと強く興味を惹かれた沖縄戦時代の慰安婦の〈わたし〉のパートが交錯して物語は進む。この中でも話題に出ていたけど、この問題はとてもセンシティブで出来れば触れない方が身の為と誰もが口にする事象だけあって、こうして当時の様子を知ると、あまりにも酷すぎて生きた時代が違うだけで人としての人権の違いに驚愕する。いてもいなくても同じという扱いをされたり、人が人として扱われない不条理さ、アイデンティティとはを投げかけられる。2024/08/11
yanagi
5
すごく生々しく書かれており、それは今もなお問題となっているんだと痛感した。戦争や原爆など昔の経験を皆にも知って欲しい、忘れられず無かったことにしないで欲しいと思う人たちとそれを伝えようとする、未経験者への罵倒と。知らないのに書くな!という人はどういう気持ちで言っているのだろう。2025/03/24
門哉 彗遙
5
プロの小説家デビューを目指す女性と朝鮮慰安婦の二つの物語が同時進行する。自分の存在価値を認めさせたい小説家の卵と一方は死ぬことも出来ずにただ「あな」として生かされる女性。場所が移動するたびに日本名が与えられて、決して本名は誰にも言わない。小説家の卵が内面的に成長していく中で、やがて二つの物語は…。慰安所の表現はかなりキツく心を抉られそうだった。深沢潮さんの本はこれで4冊目だが、読むたびにハマっていく。2024/08/10
りょう
4
小説家になろうとして、賞に応募し続けている女性が沖縄の従軍慰安婦問題に目をつけて沖縄に取材に。自分探し的な気持ち、歴史、沖縄の人の気持ち、葛藤が混ざった小説。確かにいきなり従軍慰安婦問題はハードル高すぎだよなあ。2024/10/05
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