内容説明
母ひとり子ひとり、貧しいながらも楽しく暮らしていたお里さんと娘のお花。一方、お花の父親の再婚相手のお絹さんには子どもがおらず、お花が欲しくてたまらない。ある日お花が病気になり、薬代がはらえず途方にくれたお里さんは、娘を助けるためやむなくお絹さんにお花を託すが……。大岡政談の名作が、前作『三方一両損』に続き、宝井琴調・ささめやゆきのコンビによる人情味あふれる講談絵本となって登場!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
95
講談絵本で、先日読んだ「三方一両損」と同じシリーズで、大岡裁きのひとつの話です。昔から聞いたこともあり、この本で再度楽しみました。絵と話し言葉の内容が楽しくイメージ的にもぴったりでした。2018/01/14
gtn
30
お絹が引き取ろうとしなければ、子の命が危なかったことも事実。表現の違いはあれど、お里とお絹の子への情愛の深さは同じ。判官贔屓により、大岡越前が結論ありきの裁きを下したと言えなくもない。2021/01/16
Cinejazz
18
〝お江戸は下谷にある小間物屋の<若狭甚兵衛>は、女房の<お里>と離縁し、<お絹>を後妻にした。独りになったお里は、根津の長屋で<お花>を出産する...子に恵まれないお絹は、甚兵衛をそそのかし、お花を我が子にせんとするが・・・〟南町奉行・大岡越前守の裁きは・・・ 「両名、立ませい! どちらがより強い情愛があるか、お花の手をとって、自分の方に引き寄せてみい!」・・・「痛いよ―、おててが痛いよ―、おっかさ―ん」と、お花は泣き叫ぶ・・・人のやさしさを推し量り、人情味あふれる名裁きに酔いしれる講談絵本の一篇。2024/03/02
ヒラP@ehon.gohon
16
人情味あるお話です。 離縁した後に子どもの産まれた元女房と、子どもに恵まれぬ新女房の間で、心のつなひき。 若狭屋甚兵衛も罪作りですが、大岡越前の名裁きで二人仲良くなっていきます。 こういうことを「子はかすがい」とは言わないと思うのですが、二人の仲を取り持つ形の娘の里ちゃん。 どんな育ち方をするのでしょうね。2017/08/19
ほんわか・かめ
10
離縁後に元夫の子を産んだ元嫁。子宝に恵まれず、元嫁の子を自分の子として育てたい現妻。どちらが子どもにより愛情があるかを、子どもの腕を両側から引っ張ることで決着をつけようとする大岡越前守。華麗な大岡裁き。あっぱれ!あっぱれすぎて改心したのか、元嫁と現妻が仲良く子どもを愛してくれてよかった。〈2017/福音館書店〉2024/05/29