文春e-book<br> 邪悪なる大蛇

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文春e-book
邪悪なる大蛇

  • ISBN:9784163918808

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内容説明

『その女アレックス』の巨匠、最後のミステリー

意地悪に、ブラックに、酷薄に、
最・悪・の・事・態が加速する!

『その女アレックス』『悲しみのイレーヌ』『死のドレスを花婿に』……
ミステリーランキングを制覇し、フランス最大の文学賞ゴンクール賞も獲得。
鬼才ルメートル、最後のミステリー。

夫を亡くして独りで暮らすマティルド、63歳。殺し屋。戦争中は冷血の闘士として知られ、戦後は凄腕の殺し屋として仕事を請けてきた。だが彼女には認知症が少しずつ忍び寄りつつあった。それに気づいたのは、彼女に殺しを依頼している戦中からの同志アンリ。マティルドの殺しが必要以上に過激になっていたのだ。一方マティルドの中では、かつて抱いていたアンリへの恋心が甦り、暴走は加速してゆく! 最悪の事態が雪ダルマ式にふくれあがる! マティルドを愛していたアンリは、そして事件を追う真面目な刑事ヴァシリエフは、彼女を止められるのか?

アタマからラストまで、ひたすら加速する「最悪と意地悪のスパイラル」。その果てに待つラストのサプライズは、笑ってしまいそうに衝撃的で電撃的で残酷で、まるで私たちの運命のようなのだ。

「多くの読者は気に入った登場人物がひどい目に遭うことに抵抗を感じる。だが現実の人生はどうだろうか。恋人が突然心筋梗塞で命を落としたり、友人が脳卒中で倒れたり、近親者が交通事故に遭ったりと、理不尽なことが次々起こる。なぜ小説家は現実の人生よりも手加減しなければならないのだろうか?」――ピエール・ルメートル

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

starbro

191
ピエール・ルメートルは、邦訳された全作品を読んでいる作家です。本書は、著者の処女ミステリにて最後のミステリ、面白くなくはないですが、永年お蔵入りしていただけあって、微妙な作品でした。大袈裟なタイトルと中身がミスマッチのような気がします。翻訳者が、McDonald'sをマクドと訳していたので、関西人かと思いきや、東京出身でした(笑) https://books.bunshun.jp/ud/book/num/97841639188082024/08/02

パトラッシュ

182
自分が認知症だと自覚していない殺し屋とは奇抜な設定と思ったが、むしろアーサー・ミラーの芝居『セールスマンの死』を書き直したのではないか。老いたウィリー・ローワンは誇りを持っていた仕事を失うが、同じ63歳のマティルダは認知症でも腕前は衰えず、邪悪な蛇の如く死体を積み重ねていく。どちらも社会の変化に対応できず、過去の栄光にすがって自分は間違っていないと慰めている。その果てに自死するウィリーに対し、生きる意志にあふれるマティルダは別の衰弱老人に殺されてしまう。ウィリーの死は悲劇だが、マティルダの死は喜劇に近い。2024/08/10

stobe1904

86
【ルメートルのクライムノベル】デビュー前に執筆したとのことだが、ルメートルらしさ全開の作品。戦時中はレジスタンスとして名を馳せたマティルドは、戦後凄腕の暗殺者としてキャリアを重ねてきたが、認知症のためか仕事が杜撰になってきていた…。先の読めない展開に、容赦なく残虐に、そして時にはコミカルに描かれるマティルドの世界は圧巻。衝撃的なエンディングもこの作品にふさわしい幕引きかもしれない。★★★★★2025/01/04

ナミのママ

81
ピエール・ルメートル最後のミステリー、1985年に書かれた最初の小説。作品の舞台は1985年、63歳で一人暮らし未亡人のマティルドは凄腕の殺し屋。そして認知症を発症した。なんとも恐ろしい設定だ。妄想と健忘を繰り返しながら殺し屋家業を続けたらどんな事になるか、周囲を巻き込んで突っ走りどこまでいくのか、ラストまで目がはなせない。お金に困らないマティルドの妄想は老人の不安を感じさせずパラダイス。携帯電話がない時代の連絡方法もすごい。レトロでおしゃれでブラックな作品。2024/07/25

オーウェン

60
戦時中にレジスタンスであり、戦後は殺し屋として生きてきた63歳のマティルド。 やってきた認知症の影響か、ターゲットを無残に殺すやり方に代わっていき、上司であるアンリも認知症に気付く。 認知症のせいで抑えが効かず、目撃されただけでも容赦なく殺していく様。 話の中心となりそうなキャラが、あっさり中盤あたりで消されるのには驚く。 アンリとの戦いがラストと思いきやの突然の幕切れ。 ルメートルにとっては最後のミステリということだが、これはほとんどハードボイルドだろう。面白かった。2024/08/24

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