内容説明
フランス社会の書記として,社会の全体を写し取る――長短九十の小説から成る「人間喜劇」の壮大な構想を,作家みずから述べた「総序」は,近代文学の重要なマニフェスト.その詩的応用編として,『金色の眼の娘』を併収.植民地生まれの美少女と非情な伊達男の恋は,黄金と快楽,人種と性の交差の中でどこへ向かうのか?
目次
パリ市内図(一八二三年)
「人間喜劇」総序
金色の眼の娘
「総序」挿絵説明
訳 注
訳者あとがき
「人間喜劇」カタログ一八四五年
オノレ・ド・バルザック略年譜
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
テイネハイランド
18
図書館本。「人間喜劇」総序と中編小説「金色の眼の娘」が収録されています。前に読んだ岩波文庫版「サラジーヌ」でも思いましたが、本書もバルザック研究者である訳者による注が詳細かつ丁寧にされていて、注を読むのも本書の楽しみのうちに入るのではないでしょうか。「金色の眼の娘」自体は、訳者がいうように「通俗的なオリエンタリズムあるいは東洋趣味の原色絵具をこてこてに厚塗りして描き上げた絵画と言えそうな中編小説」で、小説そのものの面白さの点では「人間喜劇」作品群の中だと大したことがないかなという印象です。2024/08/14
かふ
17
バルザックの「人間喜劇」は有名だけど何が「人間喜劇」なのか、よくわからない。『ゴリオ爺さん』や『谷間の百合』がそうで人物再登場法とかその小説の世界観が各小説に関係してくるテーマがあるというものだ。それはこの本の「序論」に詳しく、言わばバルザックの小説論を表していた。それはパリの風俗をカタログのように分析して階層を分類する(それは自然科学的な手法だとか)。そしてその中で一本の根幹となるのが人間の欲望(金)ということで、「人間喜劇」という博物誌ならぬ標本的なテキスト群なのだった。2026/04/09
tyfk
8
「「総序」の次に『金色の眼の娘』の三つの章を置くと、全体は起承転結のある四部構成の読み物になりはしないか」p.2472024/08/18
Fumoh
5
バルザックの「人間喜劇」は人物再登場の手法を用いて、19世紀の(恐らく)七月王政期(1830~1848)のパリ風俗を横断的に描いた作品群です。喜劇とはいいますが、今でいうお笑いではなくて、悲劇的特色のない、自由な形式の作品ということだと思います(悲劇はお決まりの制約がある)。で、このバルザックは当時のフランス文学発展期において、ロマン派とは(一部相乗りしながらも)一線を画する形で、「社会・風俗」そのものを合理的・写実的な側面から描写するという試みを行いました。それについての所信表明演説のようなものが、この2025/03/04
Decoy
4
「総序」だけで文庫化とは、ありがたい。バルザックならではの力の入り具合に、早くも圧倒される。『金色の眼の娘』の方は、展開が速過ぎで、しかもラストが予想だにしない陰惨さで、「?!?!」ってなった…。『人間喜劇』を、死ぬまでにすべて読んでみたい(ようやく1割)。2024/08/12
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