アイヌがまなざす - 痛みの声を聴くとき

個数:1
紙書籍版価格
¥3,080
  • 電子書籍
  • Reader

アイヌがまなざす - 痛みの声を聴くとき

  • 著者名:石原真衣/村上靖彦
  • 価格 ¥2,970(本体¥2,700)
  • 岩波書店(2024/07発売)
  • ポイント 27pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784000616416

ファイル: /

内容説明

いまだ継続する不正義と差別に抗して,アイヌの人々は何を問い,行動してきたのか.五人の当事者へのインタビューから現代アイヌの〈まなざし〉を辿ると共に,アイヌの声を奪い,語りを占有し続ける日本人のあり方を問う.

目次

序 章 まなざされるアイヌとまなざし返すアイヌ
第1部 遺骨返還運動とアイヌ近代史
第1章 先人の尊厳と未来の教育――遺骨返還運動にたずさわる木村二三夫さん
第2章 アイヌ文化を伝えられてこなかったことに誇りを持っている――親族の遺骨を探索するBさん
第3章 幽閉されるアイヌと遺骨
第2部 インターセクショナリティ
第4章 アイヌ女性と複合差別――ヘイトスピーチと闘う多原良子さん
第5章 先住民フェミニズム批評――Aint I a Woman? /「私」は女ではないの?
第3部 アイヌと外部を行き来する
第6章 羽をパタパタさせればいい――アイヌ近現代史研究者である新井かおりさん
第7章 家出少年は傍らに神話を持つ――美術家結城幸司さん
第8章 思想的消費とまなざしの暴力
終 章 まなざしの転換
あとがき 交差する場所をひらく
謝  辞

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

ネギっ子gen

58
【北海道開拓150年は、アイヌへの植民地支配150年の歴史】当事者5人のインタビューから、アイヌの“まなざし”を辿り、アイヌの声を奪い語りを占有し続ける日本人のあり方を問うた書。副題に惹かれ――。全10章。各章末に、注。<植民地支配としての歴史、そして世界のまなざしが今を生きるアイヌの人たちにどのように刻まれているのか、またアイヌは世界をどのようにまなざし返しているのか、アイヌの出自を持つ人たちの語りのさまざまな襞から考えていく>と。……実は、道産子ながら出自がシャモである故に忌避してきたテーマで…… ⇒2025/04/14

ドラマチックガス

19
御本人もアイヌの血筋である石原真衣さんと『客観性の落とし穴』の村上靖彦さんがアイヌを語る。掲載されるエピソードやインタビューはとても興味深い。また、マイノリティの味方を装うマジョリティの暴力性の指摘は重要だと思う。ただ、マイノリティの議論に「立場性」や「思想的消費」などが入ってくると、マジョリティ側が何もできなくなってしまうことへの隔靴掻痒感も。純粋にアイヌの人々のために何かしようとしていた人もその立場性から批判するというのは、重要だろうけれど問題を先に進ませない原因になってしまう気もする。難しい。2024/09/19

かんがく

14
マイノリティの沈黙、透明なマジョリティによるまなざしなど、先日読んだ同著者の『記号化される先住民』と共通するテーマも多かったが、多くの当事者の「語り」が引用されて、その語り口に対する分析も丁寧になされているため、より深く心に訴えかけるものがあった。研究の持つ暴力性に自覚的でないといけない。2025/03/20

チェアー

7
最初から最後まで続く緊張感。こんなに緊張感が持続する本は久しぶりだ。 アイヌ、部落、沖縄。大きなくくりで考えることから離れなければならない。その中にあるさまざまなバラエティを感じ取り、ただ話を聞くしかない。学ぶというより、ただそばにいて話を聞くことだ。そこから勝手な「教訓」を引き出さないこと。2024/09/05

せい

6
少し前ゴールデンカムイの著者が何かのインタビューで「アイヌ人に『強いアイヌを描いてくれて嬉しい』と言われた。この漫画に肯定的感想を持たないアイヌは何かのイデオロギーに囚われた人だ」的な傲慢なことを言ってアイヌルーツの人が怒っているのを見た。「アイヌの文脈においてアライになるとは、植民側が享受する利益と過去の不正義についての知識を持ち、アイヌが今日置かれている疎外や傷、トラウマを直視し、現在と未来において先住民としてのアイヌの回復を目指すことを共に達成するということである。」この言葉を胸に刻みたい。2024/11/27

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/21985583
  • ご注意事項

最近チェックした商品