内容説明
吉本隆明――戦後思想史に屹立する彼の遺したことばと思想的営為は,ぼくたちになにを語りかけるのか.吉本隆明を敬愛してやまないふたりが,自身の受けた深甚なる影響について率直に語りあう.その思想的核心に迫る対論から,自分に発して世界の問題を考える思想的態度,その原型としての吉本思想が未来にもつ,驚くべき射程の広がりが明らかになる.
目次
まえがき 高橋源一郎
吉本隆明のことば 高橋源一郎
思想の「後ろ姿」/魂からうろこが落ちる/ことばの着地点/これは下手なんじゃないか?/受け渡しの問題/正しさとは何か/キーワードは「自由」/正しさと憂鬱/浄土はどこにあるのか/宗教のエコノミー/「異数の世界」はどこにあるのか
吉本隆明と3.11以後の思想 加藤典洋
思想から「国」を離隔すること――第一日目
はじめに――二つのモチーフ
1 世の大勢と違う発言をしたこと
異議申し立ての声/「戦後世代の政治思想」(1960年)/1960年以前の発言/『高村光太郎』(1957年)/「戦後文学は何処へ行ったか」(1957年)/「転向論」(1958年)
2 3.11以後に求められるもの
3 吉本隆明の反・反原発の主張と私にとっての3.11の意味
吉本隆明と「有限性の人類」――第二日目
はじめに――「世界との直取引」と「先端と始原の二方向性」
1 「先端と始原の二方向性」とは何か
1997年の発言から/起点としての『言語にとって美とはなにか』(1961-65年)/もう一つの起点としての『心的現象論序説』(1965-69年)/『母型論』(1995年)そして『アフリカ的段階について――史観の拡張』(1998年)
2 見田宗介と「軸の時代Ⅱ」
3 人類の有限性
ぼくたちに遺されたもの 加藤典洋×高橋源一郎
腑に落ちなければだめだ/吉本さんとの出会い/誤謬の人/別れの理由/肉体化された思想/発想の足場はどこにあるのか/戦争体験の受け止め方/戦後思想と根こぎの子たち/収まりの悪さの中で思想は生きていく/「近代」という尺度をはみ出して考える/異なった二つのメジャー/近代のはじまり,その核心/原発をどう考えるか/有限と無限/内在化された有限性にどう向き合うか/転移するまなざし/基軸としての吉本隆明
あとがき 加藤典洋
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壱萬参仟縁
猫丸
amanon
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