内容説明
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・ロングセラー『月とコーヒー』に連なる
〈インク三部作〉待望の第二弾!
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・
「奇妙な惑星」博物館の保管室に
勤務する十四歳のオリオ。
師匠のベルダさんと二人、
世の中のあらゆるものを記録し保管すべく
作業に勤しんでいた。
そんなある日、ベルダさんが死んだ。
自殺か、病気か、事件か。
原因がわからぬまま、
オリオは保管室の責任者を
引き継ぐことになる。
ところが――。
ベルダさんが記録に使用していた
万年筆のインク、
〈六番目のブルー〉の在庫がない。
あれなくして記録作業はできない。
旅するギタリスト、ジャン叔父さんとともに
幻のインクを求める旅に出るオリオ。
ところが、行く先々で奇妙な人たちに出会い、
インク探しは前途多難。
行方を探るうち、インクの秘密は
ある奇妙な「唄」に
隠されているとわかるが……。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ちょろこ
127
インク三部作2の一冊。大切な幻のインク"六番目のブルー"を求めて旅をするオリオとジャン叔父さん。行く先々で出会うちょっと風変わりな人との交流、インクへと一歩近づくワクワク感は相変わらずオトナ心をくすぐるのが心地よい。喪失から再生へ…重なる人との別れとインクとの別れ。人が必ず持ち得る哀しみや迷い、自問自答したくなるそんな人生観が柔らかく的を得た言葉で心にピタっとはりつく。哀しみに立ち止まってしまってもその傍らで確実に世界は回っていて、"いつのまにか"が流れているんだな。吉田さんの紡ぐ言葉は心の絆創膏みたい。2022/11/25
KAZOO
122
1に引き続いての青いインク「六番目のブルー」を探して叔父さんとの旅が続きます。様々な変わった人物たちが出てきたり、おいしそうな料理も出てきたりとあまっり筋はないような感じですが楽しめます。「五番目のブルー」というインクがあったりもします。「月とコーヒー」を含めての三部作ということなのでしょう。手元に置いて再読したい本でした。2023/12/09
シナモン
101
「人生っていうのは、『いつのまにか』をめぐる戦いなんだ。だから、たしかにぼんやりしていたら時間の野郎にごっそり持っていかれる。しかし、気を確かに持って、こつこつと積み重ねていけば、ある日、『いつのまにか』が、こちらの味方になってくれる。それってもう、時間は敵じゃなくなるんだ」(P190)静かな物語を読んでいると心がだんだん整理されて気持ちが落ち着いていく。忙しない毎日も「いつのまにか」にならないよう、気を確かに持ってこつこつ日々を積み重ねていこう。2025/07/15
けんとまん1007
84
吉田篤弘さんならではの、独特な静けさの世界。静かでありながら、不可思議なエネルギーに満ちている。インクと唄。二つの世界が、近づいたり、離れたりしながら、ものがたりが進んでいく。時計が逆回転すると、人はどうなるのか。いつも、自分のそばには、不思議な人が住む世界があるのだろう。2022/11/27
ままこ
84
〈人生には何度も『いつのまにか』があらわれる。〉叔父さんの言葉に確かに!と思った。ぼんやりしてたり、忙しいと「いつのまにか」が時間の方が追い抜いて行く。こつこつと努力を積み重ねていけば、ある日、「いつのまにか」が、こちらの味方になってくれる。私も是非味方につけたい。つかみどころのないブレ気味の叔父さんではあるが、ここぞという時に心強い。3も楽しみ。2022/11/19




