内容説明
戦争を引き起こすのは政治家か? 国家の体制か? それとも国際システムか? ルソーやスミス、マルクスにミルなど、あらゆる思想家が論じてきた戦争原因論を、「人間」、「国家」、「国際システム」の3つに体系化し、深く、鋭く、描き出す。国際政治の「分析レベル」を最初に論じた古典的名著を、わかりやすい日本語で訳出!
目次
日本語版への序文
2001年版への序文
1959年版へのまえがき[ウィリアム・フォックス]
1959年版への序文
第1章 はじめに
第2章 第1イメージ―国際紛争と人間行動
第3章 第1イメージからの推論―行動科学と国家間暴力の削減
第4章 第2イメージ―国際紛争と国内構造
第5章 第2イメージからの推論―国際社会主義と第一次世界大戦の到来
第6章 第3イメージ―国際紛争と国際的アナーキー
第7章 第3イメージからの推論―経済,政治,歴史の例
第8章 結論
訳者あとがき
参考文献
事項索引
人名索引
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うえ
7
「1891年の5月、フランスとロシアの兵士たちは…パリで出会い、議論した。その結論は…「動員は戦争の布告であった。動員するということは隣国に同じようにせざるをえなくさせることだった。自国の国境に沿って百万人の人間が動員されるのを許しながら、自分自身は何もしないということは…ピストルをポケットに持ちながら自分は引き金を引かずに、隣人が弾の入った銃を自分の額に押し付けるのを許す個人のような状況に身をおくこと…」」「それでも戦争は繰り返して起こる。人間のなかの獣性は、殺戮を喜ぶのかもしれず…理性はそれに逆らう」2022/02/27
Kenya
4
K.ウォルツの根底にある三つのイメージという分析眼を詳細に記したもの。念願の日本語訳である。構造的リアリズムの嚆矢であるウォルツの描写の多くはスピノザ、カント、ホッブズ、特にルソーによって影響されている。S.ホフマンとウォルツのルソーに対する見解の違いが非常に興味深い。ホフマンはルソーを第2イメージ、ウォルツは第3イメージとして扱っている。ウォルツの代表的な作品の邦訳が彼の死の直後に発表されたことを踏まえて読みこむと非常に味わい深い。2013/06/16
さっきぃ☆
2
さて、本書は国際関係を学ぶものにとっては必読の書。紛争の原因は人にあるのか、国家にあるのか、はたまた国際社会にあるのか。結論として各イメージ単体では説明できず、相互に関連してるということだが、読めば読むほど考えさせられる。2019/01/15
ワッキー提督
2
後のウォルツの研究に繋がる「世界観」が提示されている一冊。同時代において混沌としていた戦争原因について、さまざまな時代の政治家や哲学者の言説を整理し、3つのイメージにまとめた一冊。一般的に理解される「国際政治学」とかけ離れた、政治哲学の本のように感じられるが、本書がネオリアリズムの端緒に繋がっていくことを考えると、むしろ「国際政治学」を作り出した一冊とも言えるのではないだろうか。2017/02/12
Hiroshi Higashino
1
国際政治について、短くまとまっていて読みやすい.ただ素人の自分には、簡単には頭に入ってこない、もともと専門外の分野は部分的に楽しむつもりで読んでいるので、これはこれで十分楽しめた.2019/03/09