内容説明
和歌山に、ある宗教団体の御神体の取材へ向かう早乙女静香と、量子力学研究機関の代表へインタビューをしに行く宮田六郎。宿泊するホテルへの道すがら、まるで大きな八咫烏のような姿が目の前に出現した……。宮田がインタビュー予定だった男性がビルから落下したのだと判明、警察は自殺だと決めつけるが、前日にもオンラインで打合せを済ませ、インタビューを楽しみにしていたはずなのになぜ? 一方で、静香も取材先で御神体が消失するという事件の現場に居合わせることになる。熊野を舞台に、二つの事件の真相と八咫烏神話の謎に迫る、『邪馬台国はどこですか?』に連なる最新長編。創立70周年記念、文庫書き下ろし。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のぶ
71
自分は鯨さんの「邪馬台国はどこですか?」のシリーズが好きなので手に取ったが、結論から言うと、過去の作品ほど楽しめるものではなかった。本作は和歌山を舞台にして、新興宗教団体と量子力学研究機関が絡み合う殺人事件を、探偵役の歴史学者の早乙女静香とライターの宮田六郎が解いてゆくというのがストーリーの本筋。「邪馬台国は・・」ではそれにまつわる蘊蓄が楽しみの一つだったが、熊野古道に触れられている部分はあまりなく、量子学の話は多く出るが難しくてついて行けず、謎解きの真相は稚拙なもので白けた。今後のシリーズに期待する。2024/09/08
tonnura007
56
宮田と静香はそれぞれ和歌山の量子力学研究所と新興宗教団体の取材へ向かうが、宮田はインタビュー予定の研究者がビルから転落する現場に鉢合わせる。また、静香の取材中には御神体が消えうせるという事件に遭遇する。研究所と宗教団体は実は複雑な関係にあるのだが、二つの事件にも関連があるのか。 「邪馬台国」以来だったので、冒頭で宮田と静香の関係の変化に驚いた。小説の構造は巧くできており、最終章を読了した後に冒頭の二行の意味が分かる。ミステリーの内容はというと、、、ありきたりな火サス。短編は良かっただけに残念だった。2025/01/07
るぴん
23
宮田六郎と早乙女静香のコンビは好きだけれど、今回は色々と消化不良。熊野古道や八咫烏についても新説が語られるわけでもなく、殺人のトリックもどこかで見たことのあるもので、皆さんが言うように2時間サスペンスドラマを見たようだった。文章が拙い感じがしたのは、登場人物の1人が書いた手記…という体裁だったからなのかしら。宮田と静香がバチバチ意見を戦わせる『邪馬台国はどこですか?』的な歴史ミステリーが読みたいな。2024/12/30
ぜんこう
18
歴史学者の早乙女静香とライターの宮田六郎。今回はこの2人が新宮市で別々に行く宗教団体と量子を研究している企業…そこでいつものように(?)人が死ぬ。犯人探しよりは僕は早乙女静香が時々口にする変な昭和の一言に病みつきになる(笑) シリーズもっと続いて欲しいな(^^)2025/02/02
マッちゃま
17
邪馬台国は…シリーズ最新長編。このフレーズに心が躍り飛び付きました。たしか前作も長編でしたし続きが読めるなら短編でも長編でも どっちゃでも構いません。とにかく会話文が非常に多く、よく云えばメチャクチャ読みやすくサクサク話が進みます。動機が見当たらない自殺と思われる転落死。消えた時価三億円の八咫烏の御神体。2つの謎は科学を追求する会社社長と敵対視している新興宗教の間で起こる。なぜ事件が起こり、何が行われていたのか?どうして起こったのかが宮田六郎&早乙女静香がコンビを組み解き明かす。しかし軽かったなぁ(苦笑)2025/02/06