内容説明
かつて、名探偵の時代があった。ひとたび難事件が発生すれば、どこからともなく現れて、警察やマスコミの影響を受けることなく、論理的に謎を解いて去っていく正義の人、名探偵。そんな彼らは脚光を浴び、黄金時代を築き上げるに至ったが、平成中期以降は急速に忘れられていった。……それから20年あまりの時が過ぎ、令和の世になった今、YouTubeの人気チャンネルで突如、名探偵の弾劾が始まった。その槍玉に挙げられたのは、名探偵四天王の一人、五狐焚風だ。「名探偵に人生を奪われた。私は五狐焚風を絶対に許さない」と語る謎の告発者とは? 名探偵の助手だった鳴宮夕暮――わたしは、かつての名探偵――風とともに、過去の推理を検証する旅に出る。平成を見つめ直しながら令和を照射する、一大ミステリ・エンタテインメント!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
210
桜庭 一樹は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。 本書は、近未来名探偵絶滅後の世界小説でした。著者は、楽しんで書いていると思いますが、読者としてはあまり面白みを感じませんでした。 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000144.000009527.html2024/10/04
パトラッシュ
196
「名探偵の時代」に脚光を浴びた探偵と助手が、50歳を迎えて捨てたはずの過去と対峙するよう迫られる。特異な設定だが中年を迎えた男女が自分の人生を再検証する旅に出るという、物語的にはよくあるパターンをミステリと恋愛風味を交えて展開する。おそらく出版社の要望に応えたのだろうが、どうも曖昧で意味不明なドラマになってしまった感が拭えない。作者の通常モードなら触れたくない過去を共有する男女が突然亡霊が出現したと知って、何が起こったのか探らざるを得なくなるシリアスな悲劇に仕立てたはずだ。できればそちらを読みたかったが。2025/01/18
のぶ
132
桜庭さんが本書をこのタイトルで、創元から出すと知った時にかなりの変化球が来るだろうと想像していたが、その予想が当たったというか想像以上だった。かつて名探偵として活躍し、人気を誇った五狐焚風とその助手、鳴宮夕暮は20年後、ふたりは夕暮が夫と営むちいさな喫茶店「おいでぃぷす」で偶然再会を果たした。そんなふたりが、当時の解決を告発するSNSに衝撃を受け、事件の現在を探る旅に出る。というもので、いくつかの事件が用意されているが、過程が一筋縄ではいかない。ユニークなキャラが魅力的だが、評価は個人的に出せません。2024/09/10
はにこ
87
初めての桜庭作品。かつての名探偵の有害性を訴えるYouTuberがきっかけで、過去の事件のあった場所へ旅に出る五狐焚と鳴宮。小説の世界って探偵が正しすぎる風潮あるよね。現実では絶対ないけど。そんな過去の事件を振り返る旅をする変わった話だった。ただ、鳴宮の常に脇役で生きてきた感、そのうちあっという間に初老になったなって感覚は自分にもめちゃくちゃはまっていた。2025/02/08
ネギっ子gen
82
【時は戻せないし、生きていくしかない】名探偵の時代があったが、令和の世になって突如、名探偵の弾劾が始まった。かつては名探偵だが、<(この世のどこにどうやって逃げられるの?)50代って、八方塞がりだな。これもうミッドライフクライシスすぎだよ>と嘆く五狐焚風は、助手だった鳴宮夕暮と共に、過去の推理を検証する旅に出る……。この設定が秀逸!快作だ。ユーチューバーは叫ぶ。「超法規的存在っ!家父長制の亡霊っ!名探偵という暴力ぅ!推理という抑圧っ!今すべてが消え去る時が来たっ。/名探偵を、今っ、告発しますーっ!」と。⇒2025/01/02
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