創元推理文庫<br> 終着点

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創元推理文庫
終着点

  • ISBN:9784488190095

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内容説明

ロンドンの集合住宅に住む女性モリーのもとへ、娘のように親しくするエラから電話がかかってくる。駆けつけると、エラのそばには死体が転がっていた。見知らぬ男に襲われ、身を守るために殺してしまったのだという。警察の介入を望まず、死体を隠すふたり。しかしその後、モリーは複数の矛盾点からエラの「正当防衛」に疑問を抱く……冒頭で事件が描かれたのち、過去へ遡る章と未来へ進む章が交互に置かれ、物語はたくらみに満ちた「始まり」と、すべてが暴かれる「終わり」に向けて疾走する。英国ミステリ界の俊英が放つ、衝撃と慟哭の傑作。/解説=三橋曉

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

yukaring

63
ロンドンの集合住宅の一室。一人の女性と男性の遺体がひとつ。ここで何が起きたのか?現在を起点に現場にいた女性エラと彼女が助けを求めたモリーの2人の視点が交互に描かれる。モリーはエラの未来を守るため死体をエレベーターシャフトに隠す。しかしエラの言う正当防衛は本当なのか?そしてエラの視点は事件から過去に遡りモリーの章では逆に未来へと時は進む。若き活動家のエラと彼女を母親の様に見守るモリー。過去と現在と未来が合わさり事件の真相が少しずつ明らかになっていく。「始まり」と「終わり」の物語は余韻を残しながら幕を閉じた。2024/09/25

stobe1904

30
【過去と未来を交互するミステリ】ロンドンで過激な市民運動に身を投じているエラとモリーだが、立ち退きを迫られた集合住宅で行われたパーティで男性に襲われたエラは殺害してしまうが…。過去に遡るエラの視点と未来に進むモリーの視点を交互に置き換えながら事の真相に迫る建付けに著者の意欲を感じるが、そもそものストーリー自体が冗長で、うまく活かしきれていないと思う。何がこの作品のコアなのか、掴めないまま消化不良で読了。★★☆☆☆2024/10/29

のりまき

26
社会改革の若き活動家エラの前の死体。同じく活動家であり、エラを手助けしてきた、エラの母の世代のモリーはエラのために死体の隠匿に手を貸す。が、エラの言動は矛盾があり、モリーは利用されたのだろうか、疑惑がモリーの中に巣食う。エラは常に嘘つきで、ただの金持ちのお嬢さんが何者かになりたくて、活動を利用しているのかと思ったら…。自分と年が近いモリーの孤独が身に染みて、エラを疑いつつもエラの正当を信じたくて苦しむ姿に同情する。 2024/10/18

グラコロ

21
空きフラットに呼び出されたモリーが目にしたのは、男の死体のそばで茫然と佇む活動家仲間のエラ。エラは不意に見知らぬこの男に襲われて、思わず殺してしまったと言う。そう、犯人はもうわかっている。そして、モリーがその男の顔を見ても誰だか知らないのがミソ。冒頭の事件からモリー目線はその後の経緯を、エラ目線はエラの過去を、現在と過去を交互に展開する。エラの過去を遡りながら殺されたのはこいつか、いやこいつか、なんだこいつだったんだとなる。まあ構成の勝利かな。普通の時系列だとなんてことのない話だけどね。2025/03/01

pulp

13
まず、登場人物一覧表がない! でも最後まで読むと、この判断には納得。カタカナの名前が苦手の人も、登場人物は多くないのでたぶん大丈夫です。冒頭で殺人が起こり、そこからエラの章は過去へ遡り、モリ―の章は時間どおり進む。全貌が見えてくる最終章は確かに面白かった。ただそこまでがなあ。活動家、いわゆるプロ市民の運動家たちが主要な登場人物なのだけど、個人的には、そういう人たちには1ミリのシンパシーも抱いていないのでちょっと辛かった。決して肯定的には描いてもいないし、そもそも、それが仕掛けの一部ではあるのだが。2024/08/25

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