内容説明
新しい時代の常識に、変われないおじさんに、もう我慢できない! 『妻の終活』の著者が描く、現代「中年」小説! セクハラの嫌疑をかけられた男、女性の後輩に出世競争で負けた男、浮気が原因で離婚し、風俗通いを続ける男――。会社での働き方、女性への対応、家族との関係などの意識をアップデートできずに悩む「おじさん」たちが、あるきっかけから自分の人生を見つめ直していく。時代の変化という嵐に対応できない中年男性の悲哀を切なく、時にコミカルに描いた傑作小説! 『雨の日は、一回休み』を改題。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のんちゃん
42
昨年『不適切にもほどがある』というTVドラマが話題になった。昭和と令和をタイムスリップという現象で比べ双方の利点欠点を浮き彫りにした。本作も昭和平成を引きずり、意識のアップデートをできない中高年男性達の物語だ。その彼らの意識の中心にあるのは「仕事」だ。(1人だけ就職氷河期の主人公がいるが、彼もまた仕事というものに羨望や遺恨がある)若い頃がむしゃらに仕事に打ち込んできた自分が、家族より現在の部下や取り巻く社会より「偉い」正義なのだ。〇〇ハラの乱用は良くないが、やはり、意識の変革は必要な昨今。彼らは生き辛い。2025/01/07
Karl Heintz Schneider
42
坂井さんは時代小説以外はほとんど読んでいる作家のひとり。すわ新刊かと思い飛びついたら、「雨の日は、一回休み」の改題版だった。読まずに返却しようかとも思ったが、この本しか持ってきていなかったので、やむなく再読することに。読んだのがちょうど2年前、内容をすっかり忘れていたので、それなりに楽しく読めた、物忘れもたまにはいいことがある。いずれも昭和の遺物みたいな5人のおじさんたちの物語。年齢設定も50~60代のため、共感することもしばしば。2024/12/12
nemuro
39
新作かなぁと購入。巻末に「『雨の日は、一回休み』を改題し、加筆・修正」。そうか改題前に単行本(図書館本)で読んでいて「2022年2月」以来の再読。「著者グラフ・全期間」での既読は『ヒーローインタビュー』(2015年8月読了)から『つばき餡~花暦 居酒屋ぜんや~』(本年5月読了)まで17冊。と思ったら別の欄にも8冊。私の中では樋口有介(31冊)に次ぐ冊数に躍進していて吃驚(いつの間に!)。「スコール」「時雨雲」「涙雨」「天気雨」「翠雨」の5編を収録の連作短編集。5人それぞれの視点から描かれる悲哀。悪くない。2024/07/29
ぽろん
34
時代の変化についていけないおじさん達の悲喜こもごも。女性の方が柔軟性があるのかも?!2025/03/08
tetsubun1000mg
30
坂井季久子さんの本は「ハーレーじじいの背中」「セクシャル・ルールズ」などで5冊目となった。 職場でのセクハラで忠告を受ける課長の話からスタートする。 女性の後輩に出世競争で負けた部長、浮気で離婚され風俗に通う男と昭和の仕事観、結婚観などを変えられず、現代にアップデートできない「おじさん」を描いている。 坂井さんはどこで取材したのだろうか、かなりリアルな「おじさん」の生態で「それはダメだろ」とハラハラしてくる。 甘い考えの若手社員も気になるが、最後の定年じいさんがボルダリングを体験する章は特に良かった。2024/10/27