内容説明
里美は、娘の汐里と2人で暮らしている。若い頃の前科が原因で家族からは疎遠になり、やがて生活に困窮した里美は罪を犯してしまう……。愛を夢見て、妬んだ里美と、愛を求めて諦め、姿を消した汐里。一度は訣別したふたりだが、再び巡りあい、そして……。あらゆる母娘に、愛は存在するのか。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ポップノア♪@読書超絶停滞中
49
ー 罪を犯し愛を諦めた母娘の半生 ー 帯に書かれたこの一文だけで買おうと即決。中江さんは元々大好きな作家さんだが、今回の話はダークで切なくて心の奥深くをギュッと鷲掴みにされた感覚に陥った。一人親で子を育てる大変さ、里美の場合はなおのことだろう。どんな親だろうと信じるしかない汐里の内面も息苦しい。更に、肯定的仮面夫婦の伊勢田夫妻が登場して非常に心躍った。『残りものには、過去がある』の続編的作品だったとは。発表から2年5ヶ月待った甲斐がありました。読後は、親思う 心に勝る 親心 という言葉が浮かんだ。 2024/10/14
けぴ
43
読者家で知られる中江友里さんの小説。エーリッヒ・フロムの『愛するということ』をモチーフに子育て世代の様々な女性の生き様を多角的に描いていく。題材は良いが心を鷲掴みにするような求心力は残念ながら感じない。お行儀が良すぎるのかも。2025/05/28
sayuri
42
俳優で作家の中江有里さんの最新作は家族の形を問う長編小説。プロローグから不穏。若い頃の前科が原因で家族と疎遠になった主人公・里美が、生活に困窮し再び罪を犯してしまう。母と娘が今にも切れそうな細い糸で繋がっているようで、終始不安な気持ちで読み進めた。彼女達の姿を追いながら、愛にも様々な形がある事を思い知らされる。共に暮らす事だけが幸福とは限らない。離れていても愛する対象の真の幸せを願っているならばその時間さえも尊い。不器用な母と娘の間に隠されていた真実を知るとその思いは尚更強くなった。恩愛の絆を感じる一冊。2024/10/10
あおけん
26
血は繋がってない母娘の不器用な愛情を綴った物語。不運な事故で前科一犯になった里子だが、次の章では子供の為に祝儀泥棒に…。悪循環でどんどん落ちてくのかな?って思ったら伊勢田夫妻に助けられてから、重い感じながらも前向きな感じも出て来ました。「残りものには、過去がある」の続編なんですね。時間と共に関係性も変わって行きますね。終わり方は良かったです。2025/05/11
まる子
22
故意的ではなかったけれど、罪を犯した里美。彼女は約束通り母親になったー。子供と生きるために、他人の幸せを少しばかり盗む里美。これが親子にとっての幸せなのか。一人の赤ん坊を人間として育てる事は時に重い。だから共に生きたいと願う反面、愛し続けるために子供をあえて手放すのも選択肢の一つなんだと知った。血縁を超えて親は子供の幸せを願い、会いたくなっても会えなくなる時はいつか必ず来る日のために子供は親に会う。何が間違いで正解なのかはそれぞれに違っていい。虐待で子供の命が奪われるなら離れて欲しいと感じる作品だった。2024/11/09
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