ちくま新書<br> 検証 大阪維新の会 ――「財政ポピュリズム」の正体

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ちくま新書
検証 大阪維新の会 ――「財政ポピュリズム」の正体

  • 著者名:吉弘憲介【著者】
  • 価格 ¥880(本体¥800)
  • 筑摩書房(2024/07発売)
  • 夏休みの締めくくり!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~8/24)
  • ポイント 240pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480076274

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内容説明

結党から十数年の間に地域政党の枠を越え、国政でも存在感を見せる維新の会。公務員制度や二重行政にメスを入れる「身を切る改革」や、授業料の完全無償化が幅広い支持を得る一方、大阪都構想や万博、IRなどの巨大プロジェクトは混迷を極める。“納税者の感覚”に訴え支持を広げる政治、そしてマジョリティにとって「コスパのいい」財政は、大阪をどう変えたか。それは誰に手厚く、誰に冷たい政治なのか。印象論を排し、独自調査と財政データから維新の「強さ」の裏側を読みとく。

目次

はじめに/第一章 大阪維新の会とはどんな政党か──「定説」の再検討/財政は政策の駆動力/維新支持は大阪・関西でどのように広がったか/維新支持者は「特殊な人びと」か/維新の会は「小さな政府」か/「維新は大阪を豊かにした」は本当か/本書の構成/第二章 主要政策を読みとく/主要政策をふりかえる/大阪都構想の背景/一度目の住民投票/都構想へ二度目の挑戦/二度目の住民投票とその否決/公務員制度改革の思惑/手厚い教育政策/公教育に競争原理を導入/公立病院の「二重行政」とは何だったのか/「大阪モデル」の光と影/ふたたび大阪で万博を/IRは持続的成長の呼び水となるか/第三章 維新支持の構造──大阪府民は「特殊な人びと」か/クラウドソーシング調査という手法/大阪は「特殊な場所」か/維新支持は高所得層か、低所得層か/維新の政策は誰に、どのように支持されているか/二極化する「経済成長」への評価/教育政策はどう評価されているか/都構想、万博、IRは支持されているか/コロナ対策はどう評価されたか/維新支持者は「普通の人びと」/第四章 財政から読みとく──維新の会は「小さな政府」か/維新の会は新自由主義? /財政データの解像度を上げる──一人あたり額と偏差値/大阪維新が運営する「大きな政府」/「中之島一家」とは何か/公務員組織の縮減/委託経費の構造変化/「官から民へ」の経済的意味/大阪維新の会の均衡財政主義/教育費をどう変えたか/選別主義と普遍主義/普遍主義的な教育政策を読みとく/生活保護はどう変わったか/障がい者、高齢者の福祉はどう変化したか/コロナ禍での都市開発/維新財政と普遍主義/財政ポピュリズムのジレンマ/第五章 「大阪の成長」の実像──「維新は大阪を豊かにした」は本当か/「大阪の成長」とはなにか/大阪の成長は税収に還元されたか/大阪は本当に経済成長したか/「大阪の成長」は所得増につながったか/外国人客数から読みとく/公示地価から読みとく/「都市経営」という思想/「大阪の成長」と財政ポピュリズム/第六章 財政ポピュリズムを乗り越える/大阪府民は「普通の人びと」/政策にみる「財政ポピュリズム」/「大阪の成長」の光と影/既得権益批判と財政ポピュリズム/財政ポピュリズムの限界/均衡財政主義と普遍主義/財政ポピュリズムと社会の価値の共有/価値を共有するのは簡単ではない──維新の会の「緑の政策」/「コスパ」を乗り越える/注/おわりに/参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

trazom

105
データや統計に基づいて大阪維新を評価する真面目な本である。大阪維新は、公共サービスの配分に普遍主義を指向している。多くの住民が恩恵に浴せるが、その原資が弱者への社会保障の削減だという実態が理解できた。目玉政策の教育も、私は、教育行政基本条例による差別的な政策が問題だと思うのだが、授業料無償化のみが礼賛されるポピュリズムに陥っている。本書では「維新への支持は大阪府民の特殊性に起因」という仮説の検証まで行っている。結果は「全国との有意差なし」で「大阪府民は普通の人々」だが、こういう疑いを受けることが恥かしい。2024/10/21

23
マジョリティから支持を取り付けるために、マイノリティへのサポートを引き剥がして再配分している…?財政とは個人のコスパの集合のその先にあるものであり、社会を運営していくために人類が長い歴史を経て編み出してきた知恵なんだと思う。だとすれば、財政に対する民衆からの不満はつきものであって、それを受け止めたり説得して和らげたりするのが統治機構の役割であり、そのプロセスこそが政治なのではないか。維新がやってるのは政治といえるのか?2025/04/17

りょうみや

20
大阪府民にとって維新の会は避けては通れない。維新台頭前後の財政の変化から大阪維新が行ってきたことを可視化する。大阪維新は公務員の人件費や少数派の福祉を削って、教育費や都市部の整備など多数派に受けが良いことに予算を回してきた。これを財政ポピュリズムと呼んでいる。そうすれば手早く支持が獲得できる。著者は個人的な目先の利益ばかりに注力する政策はいずれ世の中を貧しくすると警鐘を鳴らすが具体的なものでない。大阪万博やIR事業は財政ポピュリズムに当てはまらないのだけど、やっぱり著者や多数の市民の好みでないようだ。2024/08/27

ATS

17
大阪とその他地域のネット調査(N=2000)をもとに維新の会を分析。「既得権益層への予算分配を解体し、それをできるだけ多数の人に頭割りで資源を配り直す」ことを「財政ポピュリズム」と呼ぶ。これが維新の強みでもあり弱みでもある。読んでいて浮かんだのは功利主義と合成の誤謬だ。維新は身を切る改革と言って公務員や天下り団体の費用をカットしたが同時に特別支援学校や生活保護などの社会的弱者の支援も削減してそれを大阪府民に分配したわけだ。要は大人数の利益のため少数の利益が損なわれるのは仕方ないという功利主義であった。2024/10/30

梅干を食べながら散歩をするのが好き「寝物語」

17
▼大阪維新の会が自称する改革が本当に効果を出しているのか、各種統計データ等を用いて分析している。▼2024年7月に発売された本なので、このレビューを書いている時点では最新情報が書かれた本だ。▼大阪府民は実利的な改革を歓迎し、万博など大きな支出が発生する取り組みを評価していないということがわかる。マジョリティ向けの利益を拡充し特別支援学校利用者などのマイノリティに対する利益をひっそり削減している現状も知ることとなった。▼かなりシビアな内容。自分の中で維新は支持する対象でないということがはっきりした。2024/07/27

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