ちくま新書<br> バトラー入門

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ちくま新書
バトラー入門

  • 著者名:藤高和輝【著者】
  • 価格 ¥935(本体¥850)
  • 筑摩書房(2024/07発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480076342

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内容説明

現代のジェンダーとセクシュアリティ研究の方向性を決定づけたとされるジュディス・バトラーの主著『ジェンダー・トラブル』は、その難解さでも名高い。実は、バトラーの理論を理解する鍵は、当時のフェミニストやセクシュアル・マイノリティが置かれていた現場――社会と歴史と思想の文脈にある。クィア理論って何? ブッチ/フェムやドラァグ論はどこから来たの? パフォーマティブってつまりどういうこと? バトラーの主著『ジェンダー・トラブル』を時代ごと理解する。

目次

プロローグ──『ジェンダー・トラブル』非公式ファンブック/第一章 ブレイブ・ニュートン! /The Misunderstanding/ニュートンとレズビアン・フェミニズム/「反戦運動とラディカル・フェミニズムの非嫡出子」/「ラベンダー色の脅威」とラディカレズビアンズ/「レズビアンは女を愛し、リスペクトするが、同性愛の女はただ女と寝るだけ」? /「平等主義的セックス」という圧力/マニッシュ・レズビアン/トップのフェム・ボトムのブッチ/ジェンダーの「不連続性」/第二章 ジェンダーに「本物」も「偽物」もない! /ドラァグのインパクト/『マザー・キャンプ』/ニュートンからバトラーへ/「パフォーマティヴ」と「エクスプレッシブ」/ジェンダー・パフォーマティヴィティ──「演技」を例に/自由にできるわけでも決定されているわけでもなく/「絶望の政治」に抗して/「彼女は働きすぎたので休養が必要です」/“She likes her boys to be girls”/バトラーからニュートンへ/第三章 “You make me feel like a natural woman”/「女のように/男のように感じる」? /バトラーからボーヴォワールへ/「女なるものは存在しない」/「人は女に生まれない、女になる」/比喩としてのジェンダー/「この子は女の子/男の子だ!」/政治的カテゴリーとしてのセックス/「しかし、もしアレサが私に向かって歌っているのだとしたら、どうだろう?」/「自然な女/男」のレシピ/第四章 「ジェンダーをなくすんじゃなくて増やそう」って話/「ジェンダーをなくす」? /「偏見がなくなる日」……? /性別の超越──再び、ウィティッグの「レズビアンは女ではない」/権力とその「向こう側」/「異性愛の全面否定」の帰結/ウィティッグの小説の「威力」/再び、ブッチとフェムを少々/ジェンダーはつねに再意味化に開かれている/ジェンダーを増やそう、ってゆうか/第五章 「私たち」って誰!? /その「私たち」に私は含まれてるの? /「女たち」の隘路/同時代のフェミニストたちとともに/クレンショーの「インターセクショナリティ」/フックスの『私は女じゃないの?』/コリンズとビルゲの『インターセクショナリティ』/「第三世界」からの問いかけ/スピヴァクの「サバルタンは語ることができるか?」/「私は女じゃないの?」から『それが私の名前なの?』へ/「私たち」の絶望と希望/第六章 「クィア理論って何?」/『ジェンダー・トラブル』はクィア理論の古典? /クィアって何? /エイズ危機とエイズ・アクティヴィズム/エイズ・アクティヴィズムからクィア・ポリティクスへ/「とりあえずの連帯」/パフォーマンスの政治/クィア理論って何? /批判的にクィアしよう/「対話」は難しい、それでも……/エピローグ──〈トラブル〉の共鳴/ねえ、気づいてたかな? /たくさんの「源」/『ジェンダー・トラブル』の「フェミニスト的記憶」/アカデミズムの外で/「可能性を開く」こと/「非現実化」に抗して/〈トラブル〉の共鳴/あとがき/参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

かふ

20
藤高和輝という人が『ジェンダー・トラブル』を抱えた人だと思えるから書ける本であって(実際にクィアと呼ばれる人かも)、アカデミーでバトラーを学んだというのではなく、経験から来るような文体(一般に言うオネエ言葉)で彩られており、それはバトラーよりもバトラーが『ジェンダー・トラブル』で対象とした人であるエスター・ニュートンへの眼差しが愛の本としての『ジェンダー・トラブル』があるというような(それはアカデミーの論文じゃなく、大まかに言ってバトラー『トランス・ジェンダー』の解説書なのだ2025/06/10

msykst

17
『ジェンダー・トラブル』に焦点化し、「(刊行)当時のフェミニストやセクシャル・マイノリティが置かれていた社会的、歴史的、思想的な文脈」(P13)を丁寧になぞりながら内容を解説する。当時の社会運動の中で発生した問題や突き当たった限界を示しつつ、バトラーがいかにそれを乗り越え、拡張したか論じられる。読者に寄り添おうとする言葉が節々に溢れているのだけど、加えて、『ジェンダー・トラブル』刻み込まれた「フェミニスト的記憶」(P258)を敬意を持って丁寧に描き出す事も企図されているように思う。2024/07/12

Ex libris 毒餃子

16
『ジェンダー・トラブル』の副読本かつフェミニズム思想史。作中では女性の同性愛者ですらも男性性と女性性の思考パターンになり、性行為に不具合が生じるのがトラブルのように感じました(タチとネコ、受けと攻めが役割的に発生する)。ジェンダーの自認性が社会から強制されているのがこういった極めて私秘的な事象に及ぶにあたり脱構築が必要なのかもしれません。2024/07/22

Bevel

13
入門というよりか到達点と感じた。哲学とそれに抵抗する当時の文脈についての議論の葛藤的な解釈を経て、フェミニズムの系譜学が必要だというところに達して、実際に『ジェンダー・トラブル』に関してそれをやってみたという感じ。『ジェンダー・トラブル』の解説として最も欲しかったものが詰まっている。文章が読めるようになるという感覚があるし、それぞれがもっと追求したい課題も明確になると思う。もしカルチャーとしてバトラーが広がるとするなら、この著作を契機にもっと言及されてほしいなと思う。2024/07/15

ラウリスタ~

11
バトラー『ジェンダー・トラブル』の入門書。西洋白人男性による哲学史にそれを位置付けるのではなく、同時代のフェミニズム、レズビアニズムの実践のなかに配置する(バトラーの著作は必ずしも独創的ではなく、その前後の運動の流れの中にある)。ブッチ、フェムというレズビアンにおける能動、受動的役割が、異性愛における男性・女性の役割を模倣したものであるのかという問題から発する。インターセクショナリティは、人種差別廃止(黒人男性を工場で雇用)、女性差別廃止(白人女性を事務で雇用)といった個別の差別解消の交差点にある不可視者2025/04/25

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