内容説明
舞台は大阪のテレビ局。腫れ物扱いの独身女性アナ、ぬるく絶望している非正規AD……。一見華やかな世界の裏側で、それぞれの世代にそれぞれの悩みがある。つらかったら頑張らなくてもいい。でも、つらくったって頑張ってみてもいい。人生は、自分のものなのだから。ままならない日々を優しく包み込み、前を向く勇気をくれる連作短編集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アッシュ姉
62
テレビ局で働く人々の連作短編集。四十代のアナウンサー、五十代の報道デスク、二十代のタイムキーパー、三十代のAD、報道カメラマンを夢みてバイトを始めた大学生、それぞれの悩みが等身大にリアルに描かれており、一穂さんの描写力に改めて感嘆。不器用な人もそつがない人も抱えているものがあり、自分だけではないことに安堵する。苦しかったら助けを求めたっていいし、かっこ悪くても頑張ってみてもいい。うじうじと下を向くより、先ずは顔を上げてみようと思える。夜空の星屑を眺めているような素敵な読後感。2025/04/08
Karl Heintz Schneider
62
大阪のテレビ局を舞台にした4つの物語。第一話「資料室の幽霊」がよかった。しょっぱなから幽霊?そっち系?と思ったけど、ふたりの女性の関係性が面白かった。過去のある事件で局内で腫物扱いされているベテラン女子アナと小生意気な新人女子社員。歯に衣着せぬ新人に最初は苛立つ女子アナだったが自分のことを遠巻きに見ている他の社員よりも、はるかにマシだと思うように。お互いに言いたいことを言い合うふたりだが徐々に親近感がわき始める過程がとてもよかった。2024/09/30
nemuro
54
初遭遇の作家。今月、故郷への墓参からの帰路「くまざわ書店東神楽店」にて『何年、生きても』(坂井希久子)、『卒業生には向かない真実』(ホリー・ジャクソン)、『本の雑誌 9月号』(本の雑誌社)とともに購入。帯に「一見華やかなテレビ局の裏側で、ままならない日々を過ごす人たちの物語」とあって「大阪のテレビ局が舞台」らしいので買ってみた。連作短編集。アナウンサー・部長職・派遣社員・AD・バイト、それぞれの視点で語られる群像劇。うむっ悪くない。毎年の「甲子園参戦!」時に駆け巡っている大阪のマチを思い浮かべながら堪能。2024/08/22
ぼっちゃん
53
文庫で再読。大坂のテレビ局で働く、それぞれの悩みを抱える人たちの5編の物語。どの作品も前を向いて進んでいこうと思える良い作品でした。その中で非正規社員で現状に絶望している30代ADが、腹話術の人形と病院へボランティアに行っているお笑い芸人を番組に取り上げようとする『冬 眠れぬ夜のあなた』が最後泣けました。【サイン本】2024/07/21
piro
45
なにわテレビで働く人々を描いた、春夏秋冬4編と初版特典1編。各短編の登場人物が少しずつ繋がる連作短編集でした。様々な場面において、一瞬の間に駆け巡るいくつもの感情の描写があまりにもリアルで怖いくらい。特に怒りや気弱さ、後ろめたさといった負の感情は、表には出さなくても誰もが身に覚えがあるはずで、そこを抉ってくる一穂さんの鋭い感性が冴え渡る作品でした。『<夏>泥舟のモラトリアム』の中島さんの想いにとりわけ強く共感。それぞれの出来事を通じ、彼らはきっと前に進むことができるはず。数年後の彼らの姿が楽しみです。2025/02/09
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