内容説明
舞台は大阪のテレビ局。腫れ物扱いの独身女性アナ、ぬるく絶望している非正規AD……。一見華やかな世界の裏側で、それぞれの世代にそれぞれの悩みがある。つらかったら頑張らなくてもいい。でも、つらくったって頑張ってみてもいい。人生は、自分のものなのだから。ままならない日々を優しく包み込み、前を向く勇気をくれる連作短編集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Karl Heintz Schneider
76
大阪のテレビ局を舞台にした4つの物語。第一話「資料室の幽霊」がよかった。しょっぱなから幽霊?そっち系?と思ったけど、ふたりの女性の関係性が面白かった。過去のある事件で局内で腫物扱いされているベテラン女子アナと小生意気な新人女子社員。歯に衣着せぬ新人に最初は苛立つ女子アナだったが自分のことを遠巻きに見ている他の社員よりも、はるかにマシだと思うように。お互いに言いたいことを言い合うふたりだが徐々に親近感がわき始める過程がとてもよかった。2024/09/30
アッシュ姉
65
テレビ局で働く人々の連作短編集。四十代のアナウンサー、五十代の報道デスク、二十代のタイムキーパー、三十代のAD、報道カメラマンを夢みてバイトを始めた大学生、それぞれの悩みが等身大にリアルに描かれており、一穂さんの描写力に改めて感嘆。不器用な人もそつがない人も抱えているものがあり、自分だけではないことに安堵する。苦しかったら助けを求めたっていいし、かっこ悪くても頑張ってみてもいい。うじうじと下を向くより、先ずは顔を上げてみようと思える。夜空の星屑を眺めているような素敵な読後感。2025/04/08
nemuro
55
初遭遇の作家。今月、故郷への墓参からの帰路「くまざわ書店東神楽店」にて『何年、生きても』(坂井希久子)、『卒業生には向かない真実』(ホリー・ジャクソン)、『本の雑誌 9月号』(本の雑誌社)とともに購入。帯に「一見華やかなテレビ局の裏側で、ままならない日々を過ごす人たちの物語」とあって「大阪のテレビ局が舞台」らしいので買ってみた。連作短編集。アナウンサー・部長職・派遣社員・AD・バイト、それぞれの視点で語られる群像劇。うむっ悪くない。毎年の「甲子園参戦!」時に駆け巡っている大阪のマチを思い浮かべながら堪能。2024/08/22
ぼっちゃん
54
文庫で再読。大坂のテレビ局で働く、それぞれの悩みを抱える人たちの5編の物語。どの作品も前を向いて進んでいこうと思える良い作品でした。その中で非正規社員で現状に絶望している30代ADが、腹話術の人形と病院へボランティアに行っているお笑い芸人を番組に取り上げようとする『冬 眠れぬ夜のあなた』が最後泣けました。【サイン本】2024/07/21
はな
52
抜群に面白い。テレビ局の名も無き仕事人たちに焦点を当ててるのも、嫌われがちなマスコミを題材に共感を誘うのも見事。端麗な描写は言うまでもなく、今回は登場人物の解像度が異様に高い。各短編(季節)で、キャラが完全に独り立ちしてから物語が動き出す感じ。特に凄いのは冬編で、視点役の晴一が「周りの陽キャが努力もせずに上手くやってると勘違いして妬んでうじうじする奴」っていう個人的にめちゃ嫌いなタイプ、にも関わらず最後には「お前…!ええこと言うやん…!」って感情移入させられちゃうところ。震災に絡めたエピソードも良かった。2025/10/27




