内容説明
「信じること」を解明する
「100分de宗教論」(2024年1月2日放送)が待望の書籍化!『予言がはずれるとき』『ニコライの日記』から『大義』『深い河』まで。豪華著者陣が名著の核心を読み解きながら、心理学やノンフィクション、政治学、文学といった「多角的な視点」で宗教をとらえる。新たな取材を加え議論を分かりやすく整理した決定版!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
sayan
22
宗教とは「信じる理由」ではなく、信じ続けることによって関係性と自己像を維持・再構築する営みだ。本書が提示するこの逆説は実在のTikTokインフルエンサーがカルト化した組織に帰属し活動を強化するネトフリ『ダンスは悪魔のために』に如実に現れる。批判に晒された彼/女ら「信じている」から発信や布教を止めないではない。信じ続けることをやめた瞬間に自己・所属・意味が同時に崩壊するからだ。本書が取り上げる『予言がはずれるとき』が示す構造に一致し信念内容より信念持続そのものが社会的行為になる瞬間だ。その連鎖の地図がある。2025/03/15
noko
11
杉本五郎の『大義』がベストセラーで、若者がこぞって読んだとは知らなかった。大義は日本の敗戦が濃厚になり、死を誰しもが意識するようになった環境で、プロパガンダに利用された。天皇唯一絶対神として、絶対的な天皇への服従と自己犠牲(死)を説いている。排他的な宗教感で、他の宗教を否定している。死という自己犠牲は非合理的な考えであり、それを押し付け、他の理想的な選択肢を全く与えていない。国民は一人一人違うはずなのに、単一的な価値観に縛り付け、全体主義的な流れを作り出した。天皇のためならば、暴力が許される訳ではない。2025/10/24
こういち
6
『宗教とは何か』という問いは、信仰の有無を超えて、人が不安や死、共同体とどう向き合ってきたかを静かに照らしますね。教義よりも体験や物語、倫理としての宗教を捉える視点が印象的です。あなたはこの本を、宗教の定義づけとして読みましたか、それとも人間理解の試みとして受け取りましたか?2025/12/21
グルト
5
⬛︎予言が外れても信者は予言者の新たなメッセージを信じることで、現実とのズレを修復する。信仰するものを広めて世に認められることで不協を解消する。(認知的不協和理論)こうした自己防衛反応は悪い物ではないが、内なる多面性をもつことで、異なる信条も受け止めることができる。⬛︎宗教を信じるか信じないかは、はっきりわけられない。心が弱いから信じるものでもない。信じようと思って信じる物ではない。◎宗教の基本を知りたいと思って読んでみた。体系的に理解できていないけど、心が弱いときに信じてしまうという誤解に気づけた。2025/04/11
本とフルート
4
これから始まる専門課程の予習にと思って読み始めたら読み終わらないうちに授業が始まってしまった。遠藤周作は『沈黙』しか読んだことがないので、紹介されていた『深い河』も読んでみたい。共存の可能性が見えている限り、追求することをやめたくはないから。2025/10/06
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