講談社文庫<br> 賭博常習者

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講談社文庫
賭博常習者

  • 著者名:園部晃三【著】
  • 価格 ¥880(本体¥800)
  • 講談社(2024/07発売)
  • 夏休みの締めくくり!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~8/24)
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  • ISBN:9784065364864

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内容説明

「百万円を二百万円にするのはたやすい」
そう嘯いて他人様の懐に平気で手を突っ込み、
意表を突いたケントク買いで万馬券を掴み取る――。

ギャンブルの神様に魅入られた、“ろくでなし”の自伝的長編小説

「30年前の新人が、新人のまま現われた。
馬とデラシネの日々と、ギャンブルの陥穽と
黄昏の中に立つ影に、活路はあるのか。
この小説の放逸な人生の底にあるのは、書くという行為の業である。」
――北方謙三

「破天荒なこの男の物語世界はくやしいほどにまばゆい。
映画の嘘を凌駕した凄味があるからだ。
こいつとは簡単につき合わないほうがいい。」
――高橋伴明(映画監督)


 ショウコから百万円を受け取り、(福島競馬場のメインレースの)3枠6番のソウルスピリッツの複勝に張った。
「見ていろ。6番の馬が三着にくれば金になる」
 ショウコは府中の馬場をふりかえって戸惑う。
「どういうこと? 馬、走ってないじゃない」
「ここのレースじゃない」
(中略)
 しばらくして東京競馬場の帯で束ねられた百万円が七束と、端数の三十万円を受け取る。JRAの手提げ紙袋にそれをしまってもらった。
 ショウコはその場にへたり込んで紙袋に手を突っこみ、札束を数えながら、泣いた。
「なんで……なんでこんないい加減な男が簡単にお金を作れちゃうのよ……」
――本文より

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

hnzwd

16
競馬に魅せられた主人公が単身海外に渡ったり、国内に戻ってライターとして食いつないだり、、という自伝的小説。文章は知的で読みやすいが、なんといっても賭博シーンの心理描写や人間模様が圧倒的。使っちゃいけないお金まで勝負してるシーンとかのヒリヒリする感じなんかは、、。2024/09/15

紫スカートのおっさん

12
🏇✖️1 🚙✖️1 🇺🇸✖️1 🤠✖️1 🍻✖️1 🐦✖️1 2025/02/27

カノープス

5
初読み作家。自身を投影した主人公はもちろん、その周囲に蠢く賭博常習者たちを描く。ギリギリの勝負、瀬戸際で残金にすべてを賭ける大博打の局面で、どのような思考や状況分析があったのか?そこを仔細に書き込んだ点が本書の読みどころ。この大勝負の場面のボリュームを厚くして、競馬における天の配剤をもっと読ませてくれたら忘れられないギャンブル小説になりえただろう。そう思ってしまうほど、人間ドラマの点に関しては大して面白みを感じなかった。2024/07/21

中山バスター

2
「百万円を二百万円にするのはたやすい」そう嘯いて他人様の懐に平気で手を突っ込み、意表を突いたケントク買いで万馬券を掴み取る。ギャンブルの神様に魅入られた、ろくでなしの自伝的長編小説◆一番行きついてはいけない場所(笑)読ませる文章で、よくもまぁ賭博常習者の頭の中に辿り着いたなという気持ちです。不満は実在の馬名や当時の時代背景などは薄かったことかな。現代の競馬場しか知らない人は少し描きにくい気がする。表紙のような空気は現代にないしね。2024/11/21

さだ

2
競馬をはじめとしたギャンブルには、退廃的な香りと共にそこはかとなくロマンが漂う。ような気がこの「賭博常習者」を読むとしてしまう。客観的に見ればひどい男だし、最低な暮らしぶり、精神的にも追い詰められながら博打に縋っているどうしようもないクズで近くにいて欲しくないけれど、クズのくせにどこかチャーミングなところがあるのか何故だか大人に可愛がられるのも才能のうちか。そして何より文才がある。ギャンブラー特有の記憶力で60年近い歳月を描き出す手腕には脱帽するしかない。本の雑誌社・杉江さんの解説も熱い。2024/08/27

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