内容説明
終点はやがて、始まりの場所となる――。人生の終わりに向かう男女が、果ての街で出会い、分かち合ったものは。直木作家の代表作!
愛する女性を失い、己を罰するように生きてきた鷲田完治。国選弁護人として静かに暮らす彼の前に、弁護を担当した椎名敦子が現れる。ある人を捜してほしいという。個人の依頼は受けないはずだったが、寄る辺のない彼女の人生を知り、やがて完治の心は動き始める(表題作「起終点駅」)。北海道に生きる人々の孤独と光を描いた名篇集。
解説は本屋大賞作家・町田そのこ氏!
24年5月から桜木紫乃、4作連続刊行! 第一弾『凍原』、第二弾『氷の轍』に続き、本作『起終点駅 ターミナル』、8月『霧』と続きます。
目次
かたちないもの
海鳥の行方
起終点駅 ターミナル
スクラップ・ロード
たたかいやぶれて咲けよ
潮風(かぜ)の家
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
akiᵕ̈
35
北海道が舞台となる作品が多い著者だけど、これほどまでにそれが見事にハマって、情景がまざまざと浮かんでくる洗練された筆致がなんとも心地良い。それとは裏腹な登場人物たちの悲哀。深く傷ついた人たちの、人を当てにせず一人生きていく淋しさを掬い上げ、最後はふんわりと包んでくれる。タイトルがターミナルとつくだけあって、それぞれが最後に見つけたものに微かな光が見える。今回の解説は桜木さんの大ファンだという町田さんが担当しているけど、その解説がこの作品の真髄を見事に秀逸すぎる言葉で紡いでいて、そこに感動してしまった。2024/08/19
HaruNuevo
30
4ヶ月連続刊行の第三弾、てっきり前2作に連なる長編かと思い込んでた。 独特の寂寥感と湿り気を纏う短編6作、特に心に残ったのは『潮風の家』。故郷を捨てざるを得なかった女性の30年ぶりの帰郷、待っていたのは母親の友達だった老女。彼女の過去と主人公の過去の交叉点からこぼれる温かさとその背景にある世の中の寒さ、冷たさ。 町田その子さんの解説もとても良かった。2024/08/14
ふう
21
町田そのこの解説が本文に呼応してお見事。6人ともうまく生き抜くことなんかできなくて、もどかしくなるような生き様なのに、それがなんとも愛おしく感じられる。2025/06/17
けんけんだ
18
なんとも暗いというか切ないというか桜木さんらしい短編集でした。地元北海道の人の読後感想を聞いてみたい2024/08/19
紫の煙
9
ラストの「潮風の家」が好きだ。トリック満載のミステリーもそうだが、こういう短編を創造して描ける作家さんは、本当に尊敬する。色んな小説を読んでいると、自分の好みの振り幅が大きくて、我ながら驚いてしまう。2024/10/05
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