講談社学術文庫<br> 日本法制史講義 公法篇

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講談社学術文庫
日本法制史講義 公法篇

  • 著者名:中田薫【著】/北康宏【編,解説】
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  • 講談社(2024/07発売)
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  • ISBN:9784065364048

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内容説明

本書は古代から江戸時代までにおよぶ日本の通史である。ただし、大化の改新や本能寺の変といった政変や戦乱の歴史ではなく、たとえば大和朝廷時代の臣(おみ)、連(むらじ)、伴造(とものみやつこ)にはじまり律令制を経て鎌倉幕府の組織、さらに室町幕府、江戸幕府の組織に至るように、租庸調から年貢に至る税制、荘園制をふくむ土地制度、裁判制度など、この国を成り立たしめている制度の歴史、いわばこの国の「かたち」の歴史を一望する。

「佐藤君とは違って、僕は中田さんの講義を聴いたからねえ」。かつて石母田正は楽しそうに佐藤進一に語ったという。戦後日本史学の礎を築いた二人の巨人の間でこのような会話をせしめた「中田さん」こそ、中田薫その人であり、本書は、「中田さんの講義」の一つ、東京帝国大学で行われた日本法制史講義公法篇の講義録である。
中田薫(1877-1967年)は、日本における法制史研究の創始者で、法制史はもちろんのこと、前述の会話からも明らかなように日本史学にも絶大な影響を残した。西欧のみならず中国など世界中の法に通暁し、厳密な近代的法概念によって論理的に前近代の法や社会を分析することを通して、その後の日本の歴史像の土台を築いた。
当時の法律雑誌に「聞いて居ては頗(すこぶる)る面白い。通常なら乾燥無味な法律の条文解釈とは別に川柳が出たり、江戸文学の顕著な傑作や貴い珍奇な文献が読み上げられたりするので、その時は無性に面白い。それでいよいよ試験となると最もつらい一科目である」と評された名講義を、講義最終年度にあたる昭和十(1935)年度の講義録を底本に、他年度の講義録や弟子たちによる貴重なノートを参照しつつ編纂。『人物叢書 中田薫』(吉川弘文館、2023年)で入念な調査を重ねその人生に迫った編者による渾身の講義録。

【本書の主な内容】
第一編 上世 
第一期 大化前代
天 皇/人民の階級/官制(中央官制)/地方制度/税制および兵制/土地制度/法源/刑法および裁判手続ほか
第二期 大化後代
天皇および皇族/人民の階級/氏姓制度/中央官制/官職(官吏法)/位階の制/地方制度/戸籍および計帳/土地制度/財政/兵制/庄園/法源/刑法/裁判所(司法制度)ほか

第二編 中世
天皇および朝廷/将軍および幕府/人民の階級/庄園/封建制の発達/地方制度/土地制度/財政/法源/刑法/裁判所(司法制度)ほか

第三編 近 世
天皇および朝臣/将軍および幕臣/幕府の中央官制/人民の階級/地方制度/土地制度/財政/封建制/法源/刑法ほか

編者解説

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

うえぽん

44
東京帝大での昭和10年度の日本法制史講義を中田教授講義録や弟子のノートから最近復元された労作。大化前代・後代、中世、近世に分けて、天皇、人民階級、中央官制、地方制度、土地制度、財政等を解説。比較法制史も担任していたため、随所に隋唐の律令、ローマ法、ドイツ法等との比較の視点があり興味を惹く。唐の制度を模して律令期に導入した五保が江戸時代に五人組として復活したことや、江戸時代の町村をドイツ中世法の組合社団に類似した法人の一種(実在的総合人)と指摘している点など、現代にも通ずる時空を超えた視点が垣間見られる。2024/10/04

フクロウ

5
古代から近世までと守備範囲が広すぎる。ただ、現在の史学ではかなり書き換えられている部分もあるのではと思った。平安時代の国司制度が荘園による侵食などを経つつ形骸化しつつも豊臣・徳川時代まで生き延びているあたり、古来からの制度はなかなか変わらないものだなぁと。鎌倉幕府創設が1192年ではなく1185年になったという話を前に耳にしたのだが、頼朝の(総追捕使ではなく)総守護任命がポイントっぽいわね。あとは、土地公有制も新開墾地以外では徳川時代まで脈々と残っていたりするのも意外だった。2025/01/03

Ohe Hiroyuki

3
帝大時代の講義につき、学生が作成した講義ノート等をベースに再構成された一冊。▼教授が、ひたすら朗読し、これを学生が速記するという文化(習性?)は、今も残滓が残っているが、当時は速記が当然だったようである▼速記ノートをベースに講義録が作成され、それが書店で売っていたというから今からすれば驚きである。▼講義内容は、その濃さと深さに驚く。我が国の法制史について綿密に講義されていて大変に勉強になる。現代民法の特に物権の部分を理解するためにも本書は極めて有益である。2024/10/03

261bei

1
昭和10年、つまり1935年の講義録の再現なので古い点はあると思うが、近世以前の日本の国制史的な記述は新鮮。令外官が発達したのは中華と違って社会経済的には遅れていたから、簡易的な行政手段がどうしても必要になったこと、幕府の長は征夷大将軍の地位よりも明らかに高く、将軍は「鎌倉殿」の一つの属性であること(実際織豊は将軍に就かなかったがほぼ同じ立場に立った)、あと江戸の町村の法人格に関する記述(独立の財産を有し、債務を負うこと、租税は町や村のような単位でとること)が印象に残っている。2025/01/23

井汲

1
中田薫による東京帝大での昭和10年の講義を復元し、適宜情報を補って編まれた、大化前代から江戸時代までの日本法制史(公法編)▼法そのものの変遷だけではなく、当時の公的組織の編成・身分制度・税の仕組みなど、社会のシステム全般が簡潔かつ幅広く説明されており、当時の社会を視る解像度が格段に上がる▼土地の権利に絡んではしばしばローマ法、ゲルマン法と比較しての特徴が言及されるので、その辺りは西洋法制史を勉強した後でまた読み直して理解したい▼講義は公法編と私法編が隔年で開講されたとのことなので、私法編の出版が待たれる2024/10/19

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