内容説明
新シリーズ「ビジュアルガイド+C(カルチャー)」の第一弾として
温泉マニアならではのディープなつげ義春評論が登場。
『ねじ式』『ゲンセンカン主人』など、
シュールで独特な作品で人気を博した漫画家・つげ義春。
彼は一時期、時代から取り残され、
侘しく寂れている「ひなびた温泉」に憑かれたように惹かれ、
ペン画や写真、紀行文などでその魅力を発表した。
それらの風景の、何がそれほどまで彼を夢中にさせたのか?
つげ義春にとって「ひなびた温泉」とは、一体何だったのか?
「ひなびた温泉」というマニアックな切り口で
つげ義春の人物像に迫ります。
本書には、20点を超えるつげ作品のイラストに加えて、
写真家・マキエマキによる、つげ義春作品をモチーフとした、
「つげ義春を巡る旅」シリーズのセルフポートレイト作品も多数掲載しました。
また、後半パートでは温泉研究家の著者による写真とともに
実在する「つげ義春的・ひなびた温泉」の魅力と楽しみ方を紹介。
マニア納得のディープな評論と、どこか不気味でクセになるつげ作品のイラスト、
そして、つげ作品の世界観をズバリ表現した数々の写真を通して
めくるめくつげワールドをご堪能ください。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
つちのこ
40
小学五年生で『ねじ式』や『ゲンセンカン主人』を手に取ったという著者はかなりの早熟。私は『チーコ』からなので、著者がいう“ちょっと厄介な小学生”だったかも。ひなびた温泉の魅力に憑りつかれた著者は、幼い頃に出遭ったつげ作品のトラウマを引きずっているんだろうか。どれだけ読み込んでも、つげ義春を論ずることは誰にもできないだろうと思う。ナイーブで複雑な精神世界は当の本人にしか分かるまい。スパイスのようなマキエマキの自撮り写真にはそそられたが、「つげ論」から外れ、温泉レポになってしまう後半は、編集方針に疑問を感じた。2026/04/26
ホークス
37
2023年刊。鄙びた温泉の研究家によるつげ論。著者は小学生で『ゲンセンカン主人』の陰鬱なエロスに衝撃を受けたと言う。この作品とつげ氏の世捨て願望との関係を丁寧に論じる。この世から降りたい、今の境遇を恥じることなく飄々と生きたいという願望は、蒸発を試みた後、夢として封じられた。同じモチーフの『やなぎ屋主人』を夢の後始末とする考察には説得力がある。本書に溢れるつげ氏への憧れは切実。「普通」「常識」で縛る世の中と、縛られる安心感の両方から逃れたい私にもつげ作品は必要だ。2026/01/28
gtn
22
1967年2月の「通夜」から68年8月の「もっきり屋の少女」までの14作品について、著者は「奇跡の二年間」と呼ぶ。中でも「ねじ式」と「ゲンセンカン主人」を小学生の時、目の当たりにしてしまい、いまだにその衝撃が冷めやらぬ様子。実父の狂死、幼い頃の赤面恐怖からくる人間嫌い、蒸発願望等が混じり合ったマグマが、この二年間に噴出したというのが著者の目立てだが、それだけではないと思う。著者は触れていないが、その頃出会った宗教が創作活動の多大な影響を与えたのでは。ヒントは「ほんやら洞のべんさん」に少しある。2023/04/29
阿部義彦
17
こんな本が拾えるからブックオフ通いは辞められない!今年1月に出た本です。みらいパブリッシング刊。著者はライターでwebマガジン『ひなびた温泉研究所』の所長。そんな岩本さんがつげ義春の辺境漫画3編(ねじ式、ゲンセンカン主人、やなぎ屋主人)の世界を、当時のつげさんの心境とダブらせて解説します。又本書にはセルフポートレート写真家マキエマキ氏の作品『つげ義春を巡る旅』も同時に掲載して昭和のエロを堪能できます。ゲンセンカンで、蒸発者が取り込まれる異空間を描き、やなぎ屋でそこからの生還を果たす。幽霊作家の足跡。2023/06/11
りえぞう
4
最初のほうはまじめすぎて面白くなかったけれど、中盤、つげさんの漫画解説あたりからがぜん面白くなる。最後はひな湯研究所のお気に入りの湯について。いやあ、どこも一度は行ってみたい、滅びる前に。2023/11/06
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