内容説明
1980年代に発明された走査型トンネル顕微鏡は、個々の原子を識別できる究極の空間分解能で物質の表面形状を調べる手法として急速に普及したが、もう一つの特徴である電子分光装置としての側面は、今世紀に入るまで十分に利用されてこなかった。本書は、これらの二つの特徴を同時に活用して電子励起スペクトルの空間分布を原子分解能で描き出す、分光イメージング走査型トンネル顕微鏡と、その物性研究への応用について解説した初めての書籍である。
目次
第1章 はじめに
第2章 走査型トンネル顕微鏡/分光(STM/STS)
第3章 分光イメージング走査型トンネル顕微鏡(SI‐STM)の装置技術
第4章 SI‐STMのデータ解析
第5章 準粒子干渉
第6章 銅酸化物高温超伝導体
第7章 鉄系超伝導体
第8章 極端条件下でのSI‐STM
第9章 SI‐STMの拡がり